日本のたてもの―自然素材を活かす伝統の技と知恵 展
2020年12月に「伝統建築工匠の技 木造建築を受け継ぐための伝統技術」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されることが決定しました。 日本に古くから伝わってきた、自然の素材を活かして、暮らしやすく美意識も満たす建築のための技術は、様々な職人の技によって支えられてきました。 国宝めぐりをしていると、今のような機械やエネルギーがない時代に、よくこれだけのものが出来たと感心するばかりです。
今回の展示は全て縮尺模型なのですが、これは海外で日本の建築を展示するためや、国内での技術の継承や保存を目的として、1960年から始まった国の「模造事業」で制作されたものを中心に、文化財に指定された建造物の模型が集められています。 テーマごとに3会場に分かれていて、東京国立博物館と国立科学博物館は、事前予約が必要なのでご注意ください。
紡ぐプロジェクト「日本のたてもの」公式サイト
東京国立博物館 表慶館「古代から近世、日本建築の成り立ち」
東京国立博物館では、江戸時代までの日本建築の成り立ちがテーマで、国宝建築の模型がたくさん出ています。 解体修理などの時に作られたものも多く、真ん中で切断されたり屋根を葺かない部分を作るなど、中には外観からではわからない構造まで見えるものもあります。 建造物によっては、一般人は観ることのできない角度もありますが、360度まわり込める展示が多いので、建築好きは絶対逃せないチャンスです。 明治の大嘗宮以外は写真撮影OKです。
模型が展示される国宝建築
塔婆建築
国宝『法隆寺 五重塔』1/10模型
国宝『一乗寺 三重塔』1/10模型
国宝『石山寺 多宝塔』1/10模型
古代~中世の仏堂
国宝『唐招提寺 金堂』1/10模型
国宝『長寿寺 本堂』1/10模型
国宝『東大寺 鐘楼』1/10模型
神社建築
国宝『仁科神明宮 本殿』1/10模型
国宝『春日大社 本社本殿』1/10模型
書院と茶室
中世~近世の仏堂
国宝『正福寺 地蔵堂』1/10模型
国宝『大仙院 本堂』1/10模型
門・舎
国宝『東福寺 三門』1/10模型
城郭
国宝『松本城 天守』1/20模型
国宝建築以外の模型展示
明治の大嘗宮
登呂遺跡復元住居
今西家住宅
旧北村家住宅
首里城正殿 ※この模型のみ、平成館1Fで展示されていて、通常展入館料で見学できます。
展覧会 概要
期間:2020/12/24~2021/2/21
休館:月曜日(1/11は開館、1/12が休館)、12/26~1/1
時間:9:30~17:00
料金:一般¥1,500、大学生¥1,000、高校生¥600
国立科学博物館「近代の日本、様式と技術の多様化」
科学博物館では、明治から現代までの12件の模型が展示されるようです。 赤坂の迎賓館や旧帝国ホテルのような洋風建築、都庁のような高層ビル、安藤忠雄の光の教会や現代工芸の粋を集めた京都迎賓館まで、近代以降の建築史を眺められます。 現在、明治以降の建築では迎賓館や富岡製糸場、旧開智学校が国宝に指定されていますが、今後も増えていくかもしれません。
模型が展示される国宝建築
国宝『旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)』1/150模型
展覧会 概要
期間:2020/12/8~2021/1/11
休館:月曜日(1/11は開館)、12/28~1/1
時間:9:00~17:00
料金:大学生以上¥630(通常展の料金で見学可能)
国立近現代建築資料館「工匠と近代化 大工技術の継承と展開」
この資料館は未訪問なのですが、旧岩崎邸の奥(西側)にあるようです。 平日は、湯島天満宮の北にあるビンテージマンション「湯島ハイタウン」の横から「湯島地方合同庁舎」を通って行くようで、休日は岩崎庭園から入ることになり、これだと入園料が必要になるようです。
こちらでは、技術に焦点があてられるようで、明治以降に地方に近代風の建築が展開するときに、大工の棟梁が西洋建築を真似たり取り入れる様子が、図面や模型で見学できるようです。 古い文化財の修復や保存のための技術も紹介されるので、古い建築の図面も展示されるようです。
展覧会 概要
期間:2020/12/10~2021/2/21
休館:12/26・27、12/29~1/3、1/9~11
時間:10:00~16:30
料金:無料(土日祝は岩崎庭園からの入館となり、庭園入園料¥400が必要)