禅機図断簡のこと
中国・元時代の画僧「因陀羅(いんだら)」による水墨画で、同じく中国の禅僧「楚石梵琦(そせきぼんき)」の賛が入っている。 横長長方形の軸装で、類品5件が都内の美術館・博物館に収蔵されており、元は1点または一連の作品だったと考えられる。
因陀羅の画は中国には残っておらず、文献などにもあまり登場しないため、人物については不明なことが多い。 素朴で味わいのある筆遣いで、髪やひげ等は乾いた筆をこすりつけるように描き、特徴の1つとなっている。
国宝『禅機図断簡(寒山拾得図)』
天台山国清寺に住む寒山と拾得は、いつも2人で話しているが周りの人にはよくわからない内容だったが、豊干禅師は理解してかわいがっていた。 豊干によると、実は寒山拾得は文殊菩薩・普賢菩薩の化身だという。 禅宗で好まれる画題で日本でもよく描かれた。
寒山拾得は、箒を持った立ち姿で表されることが多いが、木の根元に2人で座り、笑顔で話しているところが描かれている。 水墨画だが、墨の濃淡や筆の強弱でメリハリのある表現がされている。
国宝に指定された『禅機図断簡』一覧
禅機図断簡(布袋蔣摩訶問答図)因陀羅筆[根津美術館]
禅機図断簡(智常禅師図)因陀羅筆[静嘉堂文庫]
禅機図断簡(寒山拾得図)因陀羅筆[東京国立博物館]
禅機図断簡(丹霞焼仏図)因陀羅筆[石橋財団]
禅機図断簡(智常・李渤図)因陀羅筆[畠山記念館]
この国宝を観るには
所蔵する東京国立博物館で、数年に1度程度公開されるほか、他館への貸し出しもまれにある。
公開履歴
2023/9/12~10/9 東京国立博物館「東京国立博物館の寒山拾得図」
2022/11/15~12/18 東京国立博物館 150周年「国宝 東京国立博物館のすべて」
2021/10/19~11/14 東京国立博物館 東洋館「中国書画精華」
2020/10/20~11/15 東京国立博物館 東洋館
2019/9/10~2019/10/20 広島県立美術館「浅野家の至宝」
2018/9/26~2018/10/21 東京国立博物館 東洋館
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-91
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00088-0
【指定名称】紙本墨画禅機図断簡〈因陀羅筆/(寒山拾得図)〉
【員数】1巻
【作者】因陀羅
【ト書】楚石梵琦の賛がある
【国・時代】中国・元時代
【所在地】東京国立博物館
【国宝指定日】1953.11.14
鑑賞ログ
2018年10月
東京国立博物館東洋館「中国書画精華」