国宝『春日権現験記絵』高階隆兼筆
藤原氏の氏神「春日大社」の霊験が書かれた絵巻物で、絵は鎌倉時代の宮廷絵師「高階隆兼(たかしなたかかね)」が、詞書は鷹司基忠ら4人が書いている。 発願者は、藤原氏の一族で左大臣も務めた西園寺公衡で、延慶2年(1309年)の目録も伝わっている。 やまと絵の名品といわれ、全20巻が揃う点でも大変貴重である。 高階隆兼の作品では他に、藤田美術館所蔵の『玄奘三蔵絵』が国宝に指定されている。
この国宝を観るには
2021年秋に国宝に指定されたばかりだが、それ以前にも三の丸尚蔵館や国立博物館等での特別展へ出展されていたので、今後も公開される機会があると思われる。
公開履歴
2025/4/19~6/15 奈良国立博物館「超・国宝-祈りのかがやき-」※展示期間未確認
2024/10/29~11/24 皇居三の丸尚蔵館「公家の書」
2024/5/21~6/23 皇居三の丸尚蔵館「皇室のみやび 第3期」
2023/11/3~12/24 皇居三の丸尚蔵館「皇室のみやび 第1期」
2023/10/14~11/26 石川県立美術館「皇居三の丸尚蔵館名品展」
2023/10/11~12/3 東京国立博物館「やまと絵」
2023/7/15~8/27 岡山県立美術館「美をたどる 皇室と岡山」
2022/12/10〜2023/1/22 奈良国立博物館「春日大社 若宮国宝展」
2022/8/6~9/25 東京藝術大学大学美術館「日本美術をひも解く」
2022/1/29~3/21 神奈川県立金沢文庫「春日神霊の旅」
2021/7/24~9/12 京都国立博物館「京(みやこ)の国宝」
2021/7/20~8/29 九州国立博物館「皇室の名宝」
2020/10/10~11/23 京都国立博物館「皇室の名宝」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-11971
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】163
【種別】絵画
【指定名称】絹本著色春日権現験記絵〈高階隆兼筆/〉
【ふりがな】けんぽんちゃくしょくかすがごんげんげんきえ〈たかしなたかかねひつ/〉
【員数】20巻
【国】日本
【時代・年】鎌倉時代
【作者】高階隆兼
【寸法・重量】
巻第1 縦40.9cm、長1018.8cm、見返1枚、序・詞4段、絵4段、旧軸巻2枚、絹継11枚
巻第2 縦41.1cm、長1001.5cm、見返1枚、詞3段、絵3段、絹継7枚
巻第3 縦41.0cm、長1059.2cm、見返1枚、詞5段、絵5段、旧軸巻2枚、絹継12枚
巻第4 縦41.2cm、長1056.0cm、見返1枚、詞6段、絵6段、旧軸巻2枚、絹継15枚
巻第5 縦41.3cm、長1092.1cm、見返1枚、詞5段、絵5段、旧軸巻2枚、絹継14枚
巻第6 縦41.6cm、長1138.7cm、見返1枚、詞3段、絵3段、旧軸巻2枚、絹継9枚
巻第7 縦41.4cm、長 924.7cm、見返1枚、詞5段、絵5段、旧軸巻2枚、絹継12枚
巻第8 縦41.2cm、長 983.7cm、見返1枚、詞7段、絵7段、旧軸巻2枚、絹継16枚
巻第9 縦41.4cm、長1062.7cm、見返1枚、詞3段、絵3段、旧軸巻2枚、絹継9枚
巻第10 縦41.4cm、長1044.0cm、見返1枚、詞7段、絵7段、旧軸巻2枚、絹継16枚
巻第11 縦41.2cm、長1077.7cm、見返1枚、詞4段、絵4段、絹継9枚
巻第12 縦40.0cm、長 835.1cm、見返1枚、詞5段、絵5段、絹継10枚
巻第13 縦40.0cm、長 958.0cm、見返1枚、詞6段、絵6段、軸巻2枚、絹継14枚
巻第14 縦41.2cm、長 932.3cm、見返1枚、詞6段、絵6段、絹継12枚
巻第15 縦41.4cm、長1012.6cm、見返1枚、詞6段、絵6段、旧軸巻2枚、絹継14枚
巻第16 縦40.1cm、長1229.6cm、見返1枚、詞4段、絵4段、旧軸巻2枚、絹継11枚
巻第17 縦41.5cm、長 837.9cm、見返1枚、詞3段、絵3段、旧軸巻2枚、絹継9枚
巻第18 縦41.2cm、長 728.9cm、見返1枚、詞5段、絵5段、旧軸巻2枚、絹継12枚
巻第19 縦40.1cm、長1306.6cm、見返1枚、詞5段、絵5段、旧軸巻2枚、絹継13枚
巻第20 縦41.4cm、長 767.3cm、見返1枚、詞1段、絵1段、跋1枚、旧軸巻1枚、絹継5枚
【品質・形状】絹本著色
【伝来・他】春日社…鷹司家―皇室(明治8年・同11年献上)―国(平成元年寄贈)
【所在地】宮内庁三の丸尚蔵館
【所有者】宮内庁
【国宝指定日】2021.09.30
【説明】春日社の神々の霊験譚を集めた絵巻物で、全20巻93段が完存する。発願者である西園寺公衡(1264~1315)による延慶(えんきょう)2年(1309)の目録によれば、詞は鷹司基忠(1247~1313)ら4名が分担執筆し、絵は高階隆兼(生没年不詳)が描いた。全段にわたって中世の人々の信仰や生活が活写され、その入念かつ繊細な絵画表現と絵具の発色の美しさは他の追随を許さず、情報量の豊かさでも有数の絵巻物である。鎌倉時代のやまと絵絵巻の最高峰として極めて高く評価される。