どうする家康 展
2023年の大河ドラマ「どうする家康」に関する展覧会は、登場人物やストーリーに関する歴史的な展示が中心の展覧会と、使われた衣装などドラマに関する展示が中心の大河ドラマ館があります。 この展覧会は前者で、家康が生まれた土地である岡崎市の美術博物館で開かれます。 春には東京の三井記念美術館、秋に静岡市美術館へ巡回する展覧会ですが、展示内容は大幅に変わるようです。
今回は、地元の寺社や博物館に伝わる品物が多いのが興味深いですね。 目玉は山形県の致道博物館からやってくる、家康の四天王と呼ばれた酒井忠次ゆかりの国宝刀剣2振でしょうか。 公家の近衛家に伝わる後鳥羽上皇の和歌懐紙も公開が多くなく、国宝刀2振と懐紙を両方観ることができる7/25~7/30が狙いめです。 東博の大般若長光も人気が高いですが、こちらは期間を通して公開されます。
第1章 家康誕⽣−今川からの独⽴と三河平定
第2章 戦国乱世の選択−今川・武⽥との抗争
第3章 豊⾂⼤名徳川⽒−豊⾂政権下の家康
第4章 天下⼈への道−関ヶ原から江⼾開府
第5章 ⼤御所時代−駿府の⽣活と⼤坂の陣
第6章 東照⼤権現−家康、神となる
この展覧会で観られる国宝
太刀 銘 長光(大般若長光)[東京国立博物館]第2章
通期(7/1~8/20)
備前長船派の2代目「長光」作の太刀で、室町時代に銭600貫という破格の値がついたので、600巻で構成される大般若経にちなんで「大般若長光」と呼ばれています。 足利義輝→三好長慶→織田信長に伝わり、姉川合戦で功を立てた徳川家康に贈られたもので、戦国乱世の第2章で展示されます。
太刀 銘 真光[致道博物館/山形]第2章
7/25~8/20
こちらも備前長船派の太刀で、大般若を作った長光の弟子「真光」の作です。 織田と徳川の連合軍が武田を滅ぼしたときに、徳川家康の家臣で四天王の一角「酒井忠次」の功に対して織田信長が与えたもので、酒井家の寄贈によって設立された致道博物館に所蔵されています。
太刀 銘 信房作[致道博物館/山形]第3章
7/25~8/20
こちらも酒井家に伝わったもので、織田信雄と徳川家康が羽柴(豊臣)秀吉と戦った「小牧長久手の戦い」の戦功に、家康が酒井忠次に与えたものです。 上の2振よりも古い平安時代後期~鎌倉時代に作られたもので、後鳥羽院の番鍛冶を務めた備前の刀工「信房」による太刀です。
熊野懐紙[陽明文庫/京都]第5章
7/1~7/30「深山紅葉・海辺冬月」
深山紅葉 うばたまのよるのにしきをたつたひめたれみやま木と一人そめけむ
海辺冬月 浦さむくやそしまかけてよる浪をふきあげの月にまつ風ぞふく
後鳥羽上皇が鎌倉時代の初期に熊野詣の途中で詠んだ和歌をしたためたもので、公家の摂関家筆頭である近衛家に伝来しました。 第5章では大御所になってからを特集していて、徳川美術館や久能山東照宮から茶道具や調度品などが公開されますので、この懐紙も家康が鑑賞したのかもしれません。
上杉家文書[米沢市上杉博物館/山形]
7/1~7/30
第2章 徳川家康起請文 上椙(輝虎)宛
第3章 羽柴秀吉判物 上杉少将(景勝)宛
8/1~8/20
第2章 酒井忠次書状 村上源五(国清)宛
上杉家に伝わった鎌倉~明治時代までの文書類で、武家の文書類として初めて国宝に指定されました。 2千通を超える書状から、今回は前期に2点、後期に1点が公開されます。
展覧会 概要
期間:2023/7/1~8/20
休館:月曜日、7/17は開館し7/18が休館
時間:10:00~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,500、小中生¥750
岡崎市美術博物館 公式サイト
近くのおすすめ観光スポット
岡崎公園・岡崎城
岡崎公園の中心はもちろん岡崎城ですが、残念ながら戦後の再建でコンクリート造です。 それでも「五万石でも岡崎様はお城下まで舟が着く」という小唄の通り、川沿いの立派な石垣の上に建つ天守は雰囲気満点です。 お堀の周りを散策すると、家康の産湯の井戸や龍城神社、茶店や土産物店もあって楽しいです。
三河武士の館(大河ドラマ館)
岡崎公園の敷地内にある「三河武士のやかた家康館」は、普段は名前の通り徳川家と三河武士に関する資料館ですが、この1年間は「どうする家康 岡崎 大河ドラマ館」になっています。 こちらの半券で、どうする家康展が団体料金に割り引かれるようです。
八丁味噌「まるや」「カクキュー」
岡崎城から八丁(870メートル)のところに、岡崎市の名産品「八丁味噌」の味噌蔵「まるや」と「カクキュー」が並んでいます。 2軒とも無料で見学や売店で買い物ができ、カクキューのレストランでは味噌カツや味噌煮込みうどんを食べることができます。
松平・徳川の菩提寺「大樹寺」
家康の位牌は遺言によって岡崎の大樹寺に安置され、以降14代家茂までの歴代将軍の位牌が生前の身長と同じ大きさに作られています。
本堂の正面に立つと、山門と総門を通して岡崎城が見えます。 反対に岡崎城からも門を通して本堂が見え、この直線は「ビスタライン」と呼ばれているのだそうです。
家康が先勝祈願をした「伊賀八幡宮」
大樹寺から近いところにある松平家の氏神様で、家康がたびたび先勝祈願をしたことで有名です。 門の前には池があって、初夏には蓮の花でいっぱいになるようです。
ついでにグルメ
岡崎城の近くでローカルグルメの食べ歩きをしました。 岡崎城のある公園内には数件の飲食店がありますが、カジュアルな茶店風のお店はしっかりご飯からコバラまで選べて便利です。 田楽にかかっているのは、もちろん八丁味噌! 和菓子の「いがまんじゅう」は、徒歩数分の所にある和泉屋さんのもので、西三河では雛祭りで食べられる郷土菓子です。 もっちりしたお饅頭の表面に色とりどりのお米がまぶしてある素朴なもので、いがまんじゅうという名前は、表面のお米が栗のイガに似ているからとか、家康の伊賀越えからきているという説もあるようです。