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情報|九州国立博物館「海幸山幸-祈りと恵みの風景-」2021/10/9~12/5[福岡]

情報-博物館・美術館

海幸山幸-祈りと恵みの風景-展

秋の九州国立博物館は、2020年夏に企画されていてコロナ禍で延期になった「海幸山幸-祈りと恵みの風景-」が開催されます。 海幸山幸は日本神話に登場する兄弟で、それぞれが海と山で狩猟を行うという、ぐるりと海に囲まれ山の豊かな日本らしい設定です。 この展覧会では、海幸山幸神話のストーリーや背景を解きながら、海と山それぞれを表した美術品や、日本人が自然に対して抱いてきた信仰も紹介されるようです。

九州国立博物館「海幸山幸」チラシより

海幸山幸神話

古事記と日本書紀で異なった記述があり、更に写本の系統による違いもありますが、おおよそ以下のような内容です。

天照大神の孫で「天孫」と呼ばれ高天原に降り立った「ニニギノミコト」と妃の「コノハナサクヤヒメ」の間には、海幸彦と山幸彦という兄弟がいた。 海幸彦は海での漁を得意とし、山幸彦は山での狩を得意としていた。 ある日、2人が道具を取り替えてみたが、2人とも獲物がとれなかったばかりか、山幸彦は兄の釣針を失くしてしまう。 兄に責められて途方にくれる山幸彦の前に「塩椎神(塩土老翁)」が現れ、その教えによって綿津見宮(海神宮)へ向かうと、そこで「トヨタマヒメ」を娶り3年もの時を過ごす。 地上に戻る山幸彦のために、トヨタマヒメが海幸彦の釣針を探し出し、山幸彦は他にも宝玉を携えて地上に戻る。 やがて海幸彦と対立するが宝玉の力で降伏させ、海幸彦は山幸彦の守護をすることになった。

この展覧会で観られる国宝

通期

宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品から「三角縁神獣鏡」海幸

島自体が御神体で、現在でも女人禁制が守られている宗像大社沖津宮のある沖ノ島は、4~10世紀までの祭祀跡が残っていて、8万点もの遺物が国宝に指定されています。 宗像大社の岸側にある辺津宮に隣接される宗像大社神宝館で常時公開されるほか、九博の文化交流展(通常展)でも十数点が公開されています。 今回は、4世紀の三角縁神獣鏡が出展されるようです。

宮地嶽古墳出土品から「鐙」 海幸

現在は宮地嶽神社の奥の宮になっている宮地嶽古墳からの出土品で、こちらも交代で何点かが九博の文化交流展(通常展)で公開されています。 この展覧会では山幸のコーナーに、馬に乗った時に足先を置く部分「鐙」が出るようです。

平家納経[厳島神社/広島] 海幸

前期(10/9~11/7):第24「法華経妙音菩薩品」
後期(11/9~12/5):第25「法華経観世音菩薩普門品」

瀬戸内海の海に浮かぶ厳島神社は、平家の尊崇が厚く奉納品も多く伝わっています。 この平家納経は華やかさと豪華さではおそらく日本一と思われる装飾経で、平清盛をはじめとする平家一門が、1人1巻を受け持って写経したものです。 見返しの絵も見事で、経典ですが絵画として国宝に指定されています。

海磯鏡[東京国立博物館] 海幸

東京国立博物館の法隆寺宝物館で常時展示されている大型の銅鏡2枚の内の1枚で、聖徳太子の命日に光明皇后が施入したものだそうです。

背面には蓬莱山のような高い山が四方に配され、それを埋めるように波が彫られています。 波間には、船に乗った人物や魚がいますので、探してみて下さい。

国宝『海磯鏡』東京国立博物館

桜ヶ丘遺跡出土銅鐸[神戸市立博物館]山幸

神戸市灘区からまとまって発見された銅鐸で、袈裟襷文銅鐸には人が動物を狩る様子が彫られたものがあるので、そういったものが出展されるのではないでしょうか。 大型で見応えのある銅鐸です。

国宝『桜ヶ丘遺跡出土銅鐸』神戸市立博物館

10/9~11/7

紺絲威鎧[厳島神社/広島] 海幸

厳島神社からは平家納経の他に、平清盛の長男「平重盛」の奉納と伝わる大鎧が出展されます。 平安時代末期の形をほぼ留めている貴重なもので、黒漆塗りの鉄と革の小札を1枚ずつ交互に並べ、太い紺色の糸で威しています。

誓願寺盂蘭盆縁起 栄西筆[誓願寺/福岡] 海幸

日本の臨済宗の祖といわれる栄西は、中国に2度留学していますが、その1度目と2度目の間に滞在していた福岡県の誓願寺で、盂蘭盆会(お盆)に法華経を奉納する由来を書きました。 古文書として国宝に指定されていますが、色紙に雲母刷りのされた料紙を使った華やかなものです。

島津家文書から「薩藩勝景百図」[東京大学] 山幸

島津家文書 は、鎌倉時代に幕府の御家人だった時代から明治維新まで、700年に及ぶ文書類がまとめて国宝に指定されています。 今回はその中から江戸末期に編纂された「薩藩勝景百図」という、薩摩藩の風景や風俗を描いた資料が公開されるようです。

11/9~12/5

無準師範墨蹟(円爾印可状)[東福寺/京都] 海幸

中国・南宋時代の名僧「無準師範」の墨蹟で、入宋して無準師範に参禅し後に東福寺を開いた「円爾」が、師から悟りの証として書き与えられたものです。 この夏は京博で公開されたのですが、あまり公開されないので、未見の方はぜひどうぞ。

禅院額字から「勅賜承天禅寺」 [東福寺/京都] 海幸

これも無準師範と円爾ゆかりの書で、帰国にあたって禅寺の堂宇などに掛けられる建物や役職の名前を、手本として書いたものです。 19幅あり、いくつかの博物館に分かれて寄託されていますが、この「勅賜承天禅寺」は公開が少ないと思います。

11/16~12/5

日月四季山水図屏風[金剛寺/大阪] 山幸

大阪府河内長野の金剛寺が所有する屏風で、やまと絵から桃山絵画への移行期にあたり、伝統的な山水図に桃山的な表現がみられます。 春と秋に金剛寺本坊の座敷で公開されますが、交通の便があまりよくないのと、寺外での公開が少ないので、九州方面の方は観ておくチャンスです。

展覧会 概要

期間:2021/10/9~12/5
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
休館:月曜日
料金:一般¥1,600、高大生¥1,000、小中生¥600

九州国立博物館 公式サイト

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