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情報|奈良国立博物館「奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-」2021/7/17~9/12

情報-博物館・美術館

奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-展

奈良国立博物館は、仏像・仏画・仏具に古写経など、仏教美術を得意とする博物館で、公開だけでなく修復や研究が行われています。 所蔵品の他にも、奈良を中心とした関西近郊の寺社から多くの寄託品があり、特別展はもちろん、名品展でも貴重な文化財を惜しみなく公開してくれる博物館です。

この展覧会は2020年の夏に予定されていて、新型コロナの関係で2021年に延期された展覧会です。 今回は寄託品は出展されず、自館の所蔵品だけで構成される、まさに「三昧」な展覧会で、13件の国宝と100件の重要文化財という豪華ラインナップです。 全10章のテーマにわけて展示されるので、それぞれの特徴が際立ったりしそうかなと、展示の仕方やキャプションにも期待してしまいます。

最近は、自館の所蔵品は写真撮影OKにする美術館博物館が増えていますが、今回も全て写真撮影OKとのことです。 日本のスマホも、許された場所だけでいいのでシャッター音がキャンセルできるようになるといいのですが。。。

第1章 ブッダの造形
第2章 飛鳥・白鳳・天平の古代寺院
第3章 写経に込められた祈り
第4章 密教の聖教とみほとけ
第5章 仏教儀礼の荘厳
第6章 地獄極楽と浄土教の美術
第7章 神と仏が織りなす美
第8章 高僧のすがた
第9章 南都ゆかりの仏教美術
第10章 奈良博コレクション三昧

奈良国立博物館「奈良博三昧」チラシより

この展覧会で観られる国宝

通期

金光明最勝王経(国分寺経)

第3章 聖武天皇が、各国分寺に納めるために紫紙に金泥で写経をさせたもので、猪の牙で磨かれた金字が今でもキラキラ輝いています。 備後国(広島県東部)の国分時に納められたもので、奈良博では比較的よく公開される国宝です。

牛皮華鬘

第5章※前後期で展示替えあり
華鬘(けまん)は、お寺の内部を飾るために作られた団扇のような形の板で、金属や木の他に、牛革でも作られました。 透かし彫りに天人や宝相華を彩色し、中央にはリボン結びの総角(あげまき)を垂らした華やかなものです。 京都の東寺に伝来した様式が異なる13枚から、前後で2枚ずつが公開されるようです。

薬師如来坐像

第7章 後白河法皇によって勧請された、京都の若王子社(現在の熊野若王子神社)の御神体だった像で、神仏分離で神社を出たという薬師如来像です。 この像が作られたのは、神社の創建より古い平安時代初期で、翻波式衣文やどっしり感はいかにもです。 なら仏像館で時々公開されています。

前期(7/17~8/15)のみ

刺繍釈迦如来説法図

第1章 京都の勧修寺に伝わった、釈迦が説法する様子を刺繍で縫い表した、縦2m×横1.5mほどの布で、勧修寺繍帳と呼ばれています。 大半の部分が、現代のチェーンステッチに似た鎖縫いが使われています。 布製品は劣化が激しく公開が少ないので、お見逃しなく。

越中国射水郡鳴戸村墾田図

第2章 東大寺の荘園だった越中の射水郡鳴戸村(現在の富山県高岡市)の地図です。 麻製の布に縦横のマス目が引かれて、その土地の情報が書き込まれています。 これも公開が少ないので必見です。

蓮唐草蒔絵経箱

第3章 平安時代後期に作られた蒔絵の経箱ですが、土台には一般的な木などではなく、なめし革に漆をかけた漆皮(しっぴ)と呼ばれる素材が使われています。 漆皮は正倉院宝物にもあるようですが、平安時代に作られたものは珍しく、現存するのはこの経箱だけのようです。

伝教大師筆尺牘(久隔帖) 最澄筆

第4章 尺牘(せきとく)は漢文で書かれた手紙で、最澄が空海のもとに送った弟子に宛てたもので、空海が見るかもしれないと意識して書かれたといわれます。 冒頭が「久隔清音」で始まるので、久隔帖(きゅうかくじょう)と通称されています。 特別展などで公開されることがありますが、写真撮影の機会は少ないと思います。

地獄草紙

第6章 仏教で、善悪の所業によって6つのどこかに生まれ変わると説かれる「六道」の三悪道の1つで、現生で罪悪を犯した人が落ちて、責苦を受ける場所といわれています。 後白河法皇が蓮華王院(三十三間堂)の宝蔵に集めた絵巻の1つで、餓鬼草紙などと共にとても人気のある絵画です。

淡彩山水図(水色巒光図) 伝周文筆

第8章 日本の絵画で最も多く国宝に指定された画家は雪舟ですが、その雪舟の師とされるのがこの「周文」です。 周文は雪舟と同じく臨済宗の画僧で、真筆は確認されていませんが、周文筆と伝わる2点の掛軸が国宝に指定されています。 下部に絵を描き、上部に僧や文化人が漢詩などの賛を書く「詩画軸」で、水色巒光で始まる賛があるので、水色巒光図と呼ばれています。

十一面観音像

第9章 平安時代後期に描かれた十一面観音の仏画ですが、制作時期よりも少し古い時代の様式で描かれていて、一般的に平安仏画の名品といわれるような絵画とはかなりスタイルが違います。 少し横を向いたり、肌がピンクでぼかされていたり、他の仏画と比べると特徴がよくわかりそうです。

日本書紀(田中本)

第10章 平安時代初期に写された現存最古の日本書紀で、第10巻は応神天皇について書かれていて、奈良写経のように端正な文字が並んでいます。 紙背(紙の裏を再利用)には、平安後期に写された空海の詩文集「性霊集」がありますが、裏も公開されるでしょうか? 公開される期間があまり多くないので、ぜひ観ておきたいです。

後期(8/17~9/12)のみ

金剛般若経開題残巻 空海筆

第4章 開題は経典についての注釈で、空海が金剛般若経について直筆で記した貴重なもので、38行が残っています。 行書と草書が混ざり、書き直しや消した後もあるので、下書きではないかといわれています。 京都国立博物館が所蔵する国宝の63行分と、元は1巻だったものです。

辟邪絵

第6章 前期で公開される地獄草紙と同じ、後白河法皇の蓮華王院にあった絵巻だといわれていて、天刑星や神虫は恐ろしい風貌ですが、全て善神が描かれています。 なじみ深い毘沙門さんや鍾馗さんもいますので、ぜひコロナ退散をお願いしたいところです。

奈良国立博物館「奈良博三昧」チラシより

イベント・キャラクター

公式キャラクター「ざんまいず」

これは書かずにいられません! 2019年の夏に開催された「いのりの世界のどうぶつえん」で大活躍したキャラクター達が、奈良博の公式キャラになるようです。 2019年は、キッズ向けのワークシートやキャプションにも登場していましたので、今年もかわいい姿が見られるかなと期待しています。 今回は、ざんまいず達のモデルになった奈良博の所蔵品が、全て公開されるようです。

奈良国立博物館「奈良博三昧」チラシより

公開講座

お盆期間を除く土曜日の13:30~、奈良国立博物館の室長クラスの方々が講師の講座が開かれるようです。 それぞれのテーマの専門家の方から説明を聞くと、展示を観る角度が増えたりして楽しいですよね。 こんな時期なので各回90名限定ということで、気になる方は公式サイトから早めに予約した方が良さそうです。

7/24「観仏画三昧-奈良博仏教絵画コレクションをあじわう-」
7/31「仏教工芸の魅力-奈良博のコレクションから-」
8/7 「奈良博の仏像コレクション-種類と時代-」
8/28「古写経と古代文字史料」
9/4 「ちょっと良いかも、奈良博の考古」
9/11「仏教美術の殿堂-奈良博コレクション形成史-」

親子ワークショップ

4連休の2日目、7/23の午前と午後に開かれる親子向けのワークショップです。 抽選で各回10組と競争率が高そうですが、夏休みの自由研究に使えそうでいいですね。 公式キャラ「ざんまいず」の切絵もあるようで、シートだけ配布してくれないかな。

展覧会 概要

期間:2021/7/17~9/12
休館:月曜日(8/9は開館)
時間:9:30~18:00(毎土曜は~19:00)
料金:一般¥1,500、高大生¥1,000、小中生¥500

奈良国立博物館 公式サイト
奈良博三昧   公式サイト

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