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情報|石川県立美術館「まるごと奈良博」2024/7/6~8/25[石川]

情報-博物館・美術館

まるごと奈良博 展

兼六園に隣接する石川県立美術館は、加賀前田家の名宝が公開されることも多い、日本美術に強い美術館です。 この夏の特別展は、まるごと奈良博(=奈良国立博物館)ということで、仏教美術を中心とした奈良博の名宝が勢揃いします。 国宝が期間を通して8件、重要文化財は93件と、全200件あまりの出展数の内、国宝・重文が半分を占めるというのは、国立博物館以外ではかなり大規模な展覧会です。

こちらのページでは、3年前に奈良博で開催された「奈良博三昧」の時に撮影した写真を使っていますが、今回の展覧会でも“まるごと”撮影OKになっているようなので、お子さんの自由研究のテーマにしても良さそうです。

特別展の入館料で2階のコレクション展示室も観られ、そちらにも国宝がありますのでお見逃しのないようになさってください。

石川県立美術館「まるごと奈良博」チラシ

この展覧会で観られる国宝

第3章 国宝『金光明最勝王経通期●● 

皆さん、小学校の時に「聖武天皇が全国に国分寺を…」と習ったと思いますが、その全国の国分寺に納められたのがこの経典です。 紫色に染めた紙を使って、金泥で写経をした上から猪の牙で磨いて輝きを出しています。 奈良博が所有するのは、備後国(現在の広島県尾道市・福山市近辺)の国分寺に納められたもので、前後期で1巻ずつが公開されます。

国宝『金光明最勝王経』奈良国立博物館

第3章 国宝『蓮唐草蒔絵経箱前期●〇

蒔絵の経箱や手箱は素材が木製がほとんどですが、こちらは鞣した革に漆をかける漆皮という技法で作られています。 .奈良時代の技法だそうで、平安時代の漆皮はこの1点だけなんだそう。 東大寺二月堂のお水取りで使う水が汲まれる福井県小浜市の若狭神宮寺に伝わった品だそうです。

国宝『蓮唐草蒔絵経箱』奈良国立博物館

第5章 国宝『牛皮華鬘通期●● 

華鬘(けまん)というのは仏堂の荘厳のために長押などに掛けられる装飾で、現代でも金属製の華鬘が寺院に飾られています。 こちらは牛革を透かし彫りにして漆を塗り、天女や唐草が描かれた華やかなもので、京都の当時に伝わった13枚から前期・後期で2点ずつが公開されます。

国宝『牛皮華鬘』奈良国立博物館

第6章 国宝『辟邪絵後期〇●

血みどろで地獄絵のような恐ろしさですが、ここに描かれているのは悪鬼をこらしめる善神なんだそうです。 5幅の内、神虫と毘沙門天は同時期に奈良博で公開されるので、こちらで公開される3幅は「天刑星」「栴檀乾闥婆」「鍾馗」だと思います。 後期だけの公開なので、7/31以降でないと観られません。

国宝『辟邪絵』奈良国立博物館

第7章 国宝『薬師如来坐像通期●● 

平安時代初期に作られた薬師如来の座像で、像高50cmほどとそれほど大きくありません。 衣のヒダの高さが大小交互に繰り返される翻波式衣文や、目鼻の大きいはっきりとした顔、どっしりとした体と、平安時代初期の仏像の特徴が詰まっています。 期間を通して公開されています。

国宝『薬師如来坐像』奈良国立博物館

第8章 国宝『水色巒光図(伝周文筆)前期●〇

鎌倉~室町時代は禅宗が興隆していて、当時を代表する文化人だった禅僧の間で、下部に絵を描き上部に寄せ書きのように漢詩などを書く「詩画軸」が多く作られました。 その文章部分を賛といい、この詩画軸の賛が水色巒光で始まるので、水色巒光図と呼ばれています。 なお、絵の部分の伝承作者の周文は、あの雪舟の師だといわれる画僧です。

国宝『水色巒光図(伝周文筆)』奈良国立博物館

第9章 国宝『十一面観音像前期●〇

平安時代末に描かれた十一面観音の仏画で、華やかな衣装や装飾品には彩色や截金が施されています。 この時代の仏画は正面向きで白いお顔が多いですが、やや横を向いて赤で隈取がされるのは奈良時代~平安初期にみられる特色のようで、クラシック風に描いてみた的なことなのでしょうか。

国宝『十一面観音像』奈良国立博物館

第10章 国宝『越中国射水郡鳴戸村墾田図前期●〇

最後の第10章は「北陸ゆかりの至宝」で、麻布に書かれた射水郡鳴戸村(現在の富山県高岡市)の地図が公開されます。 書かれたのは天平宝字3年(759年)で、墾田永年私財法が出された16年後にあたり、東大寺の荘園だった鳴戸村の開墾状況が記されています。 国宝の区分では、古文書として指定されています。

国宝『越中国射水郡鳴戸村墾田図』奈良国立博物館

常設展で観られる国宝

国宝『色絵雉香炉(仁清作)

石川県立美術館には常に観ることができる国宝があって、こちらも撮影可能です。 江戸初期に活躍した野々村仁清による雉型の香炉で、華やかな彩色の雄が国宝、隣に寄り添うシックな色合いの雌が重要文化財です。

国宝『色絵雉香炉(仁清作)』石川県立美術館

展覧会 概要

日程:2024/7/6~8/25
休館:7/29、7/30
時間:9:30~18:00
早朝開館:7/20~8/18の土日と8/12は、8:30開館
夜間開館:7/19~8/17の金土と8/11は、19:00閉館
料金:一般¥1,500、大学生¥1,000、高校生¥800、小中生¥500

石川県立美術館 公式サイト

ついでにグルメ

石川県立美術館の1階には「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」があって、展覧会ごとにコラボケーキが発売されます。 奥のカウンター席は裏の遊歩道の緑を見られる特等席で、ケーキは味も見た目も極上です。 とても混みますので、名前を書いておいて2階のコレクション展で時間調整するのがおすすめ。 夏休み中の土日の早朝開館時にはモーニングメニューも出るようで、とても気になります。

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