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情報|三井記念美術館「大蒔絵展」2022/10/1~11/13[東京]

情報-博物館・美術館

大蒔絵展

春のMOA美術館での展覧会に続いて、この秋は東京日本橋の三井記念美術館で「大蒔絵展」が開かれます。 蒔絵(まきえ)は、漆に金箔を貼ったり金銀粉を撒いたり、夜光貝や金属片を埋め込んで模様を作ったりする工芸品で、海外では漆製品を「JAPAN(ジャパン)」と呼ぶほど、日本を代表する工芸の手法です。 古くは正倉院の宝物にもみられますし、貴族の調度品や武士の武具など各時代の有力者が威信をかけて作らせたであろうものも多く、その当時の流行を反映した素晴らしい作品がたくさん残っています。

MOAでは北条政子が愛用したという伝承のある、三嶋大社の国宝『梅蒔絵手箱』や、鶴岡八幡宮の国宝『籬菊螺鈿蒔絵硯箱』が出展されましたが、今回は東博からの手箱と硯箱に入れ替わるようです。 この2点は前期だけの公開で、三井記念での公開が終わるとすぐに、東博150周年の国宝全て見せます展の後期展示に向かうようです。 昭和の時代にトップアイドルが、レコ大→紅白に移動していたみたいですよね。 作品が作られた時代も平安~現代まで幅広く、時代や目的別に展示構成されているので、それぞれの時代ごとの特徴がつかみやすそうです。

三井記念美術館「大蒔絵展」チラシより

この展覧会で観られる国宝

澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃[金剛峯寺/和歌山]

期間を通して公開される高野山金剛峰寺の名宝で、昭和26年(1951年)に現在の文化財保護法での第1回で国宝に指定されたほどです。 唐櫃(からびつ)は書状や経典を納める容器で、4本か6本の脚が付いた中国風の箱に、岩や草花の風景に千鳥が飛び交う様子が、螺鈿蒔絵で表されています。 

婚礼調度(初音の調度)[徳川美術館/愛知]

前期(10/1~10/23)「初音蒔絵貝桶」「初音蒔絵文台・硯箱」
後期(10/25~11/13)「初音蒔絵十二手箱」

徳川将軍家の千代姫は、わずか2歳で尾張徳川家の光友(後の尾張藩2代藩主)に嫁ぎます。 その時に嫁入り道具として持参したのが、源氏物語の「初音」や「胡蝶」をモチーフにした調度品で、江戸時代初期の調度類がこれだけまとまって残っているのは貴重です。

源氏物語絵巻[徳川美術館/愛知]

10/1~10/9「宿木一」
10/25~10/30「柏木一」

この源氏物語絵巻は、五島美術館の国宝『源氏物語絵巻』と元は一連のもので、源氏物語が書かれた時より100年ほど後に作られた現存最古級の源氏物語で、歴史資料としても重視されています。 MOA美術館でも「柏木1」と「宿木1」が公開されていますので、おそらく蒔絵の道具などが描かれているのではないでしょうか。

片輪車螺鈿蒔絵手箱[東京国立博物館]

前期(10/1~10/23)のみ

片輪車は、平安時代に牛車の車輪が乾燥で反らないように、鴨川の水に浸した様子を表したもので、東博には2つの片輪車の国宝手箱があります。 今回出展されるのは平安時代に作られた方で、大振りで明るい色の螺鈿細工が華やかです。

国宝『片輪車螺鈿蒔絵手箱』東京国立博物館

八橋蒔絵螺鈿硯箱(尾形光琳作)[東京国立博物館]

前期(10/1~10/23)のみ

江戸時代初期のマルチアーティスト尾形光琳による硯箱で、伊勢物語の八橋の場を人物を描かずに情景で表現しています。 光琳といえば、根津美術館の所蔵する国宝『燕子花図屏風』が代表作ですが、この硯箱も同じモチーフで、鼻の部分は螺鈿細工になっています。

国宝『八橋蒔絵螺鈿硯箱(尾形光琳作)』東京国立博物館

熊野速玉大社 古神宝類 から「桐蒔絵手箱」[熊野速玉大社/和歌山]

10/1~10/30

和歌山県の熊野速玉大社に奉納された古神宝類で、室町時代に足利義満によって奉納された品々が中心になっています。 蒔絵の手箱がたくさんありますが、今回は「桐蒔絵手箱」が公開されるようです。

浮線綾螺鈿蒔絵手箱[サントリー美術館/東京]

後期(10/25~11/13)のみ

MOAに出ていた2点の「政子の手箱」を見逃してガッカリした方に朗報で、こちらも政子愛用という伝承のある手箱です。 公家の衣装などに使われる浮線綾という幾何学模様を螺鈿で表現していて、ちょっと地味目ですが繊細な美しさがあります。 今回、公開されるか分かりませんが、手箱を仕舞う外箱の蓋の裏には「この手箱が災難にあわず残ったのは、政子の愛玩による霊力のため~」などと書いてあるんですよ。(リンク先に写真あり)

国宝『浮線綾螺鈿蒔絵手箱』サントリー美術館

展覧会 概要

日程:2022/10/1~11/13
休館:10/24(月)のみ
時間:10:00~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,300、大高生¥800、中学生以下無料
   永青文庫「かがやきの名品」との相互割引あり

三井記念美術館 公式サイト
大蒔絵展 特設ページ

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