京都 醍醐寺-真言密教の宇宙-展
2018年秋に東京のサントリー美術館で開催された企画展の巡回です。 醍醐寺は空海の孫弟子にあたる聖宝が開基し、その諡号にもなっている醍醐天皇が深く帰依されたお寺。 豊臣秀吉の「醍醐の花見」もここで開かるなど、各時代の有力者に庇護され多くの文化財が残されています。
展示内容は「歴史的な資料類」「仏像・仏画」「美術工芸品」で、資料類は単品で国宝に指定されている天皇の宸翰や 空海の直筆のほか、69,378点が一括で国宝に指定されている『醍醐寺文書聖教』から十数点が出展されます。
仏像・仏画は大迫力で見ごたえがあります。 平安~鎌倉頃に修法(祈祷)の本尊とされたものの出展が多く、その祈願の内容によって、本尊が異なったようです。 源氏物語などにも「何某の僧都に祈祷を~」などと出てきますが、今回出展される『訶梨帝母像』など高貴な方の祈祷の為に描かれたと考えられるものも多いようです。
美術工芸品は、応仁の乱で一時期荒れてしまった醍醐寺が、豊臣秀吉の醍醐の花見をきっかけに再興された頃のものが多くあります。 花見の時に和歌を詠んだ短冊や俵屋宗達の屏風、金の天目茶碗と天目台など、華やかな品物が並びます。
国宝の数は前期の方が多いですが、個人的には後期が気になります。 五大明王像と交代で出される重要文化財「太元帥法本尊像」は、鎮護国家の祈祷「太元帥法(大元帥法)」の本尊としたもの。 中心は、明王の総帥である「太元帥明王(大元帥明王)」で、軍の最高司令官の呼称「元帥」はここから来ているという説もあります。 これは東京未出展なのでうらやましい。 同じく、東京にも出された「松檜群鴉図屏風」は103羽のカラスが飛び交う大迫力ですよ。
この展覧会で観られる国宝
★=サントリー美術館に出展されなかったもの
△=期間中に場面替えや巻替えがあるもの
※=『醍醐寺文書聖教』の一部
通期
『薬師如来および両脇侍像』
『虚空蔵菩薩立像』
『醍醐寺縁起』
『五重塔初重壁画』△
『宋版一切経および経函』△
『絵因果経』★△
『醍醐寺文書聖教』から
「幻秘抄」※△
「秘抄」※△
「秘抄問答」※△
「薄草紙口決」※★△
1/29~2/11
『狸毛筆奉献表』伝弘法大師筆
1/29~2/17
『後醍醐天皇宸翰 天長印信』
1/29~2/24
『大日経開題』弘法大師筆
『処分状』理源大師筆
『五大尊像』
『訶梨帝母像』
『文殊渡海図』
『醍醐寺文書聖教』から
「三国祖師影」※
「醍醐寺座主次第」※★
「賢俊書状」※★
「足利尊氏 自筆書状」※
「豊光寺遣覚案 義演跡書」※★
2/19~3/10
『醍醐寺文書聖教』から
「崇徳天皇 綸旨」※
「後宇多天皇宸翰 当流紹隆教誡」※
2/26~3/24
『閻魔天像』
『醍醐寺文書聖教』から
「理性院祖師像」※
「修学土代」※★
「厚双紙」※
「足利義満 御教書」※
「織田信長 黒印状」※
「三宝院門跡触書案」※★
3/12~3/24
『醍醐寺文書聖教』から「後冷泉天皇 綸旨」※
展覧会 概要
会場:九州国立博物館
交通:西鉄「太宰府駅」徒歩約10分
日程:2019年1月29日~3月24日
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)金土は20時まで
休日:毎月曜、祝日は翌火曜が休館
料金:大人¥1,600、高大生¥1,000、小中生¥600(夜間は¥200割引)
サイト:http://daigoji.exhn.jp/
鑑賞ログ
この展覧会は巡回展で、東京のサントリー美術館で開催された時の鑑賞ログです。