※緊急事態宣言のため、4/25~5/11は休館、5/12~再開
鑑真と戒律のこと
戒律(かいりつ)は、僧や信者が守る規則のようなもので、殺生しない・盗まない・淫らなことをしない・嘘をつかない・お酒を飲まない、の「五戒」は在家信者の守るべき戒とされています。 飛鳥時代に日本に伝わった仏教は完全な形ではなく、正式に僧や尼僧になる「受戒」を授けられる僧がいませんでした。 そこで招かれたのが鑑真(がんじん)和上で、東大寺に聖域である戒壇を築いて、聖武上皇や孝謙天皇に受戒をします。
その後は栃木県の薬師寺、福岡に現存する観世音寺にも戒壇が作られ、日本三戒壇として、僧侶になるにはいずれかで戒を受けることになりました。 時が経つと徐々に戒律が守られなくなりますが、鎌倉時代に戒律復興の運動が高まり、真言律宗を興して西大寺を再興した叡尊(えいそん)、唐招提寺の中興の祖とされる覚盛(かくじょう)、様々な宗派を学んで東大寺戒壇院の長老をつとめた凝然(ぎょうねん)など、多くの名僧が戒律を守りました。
特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」
多くの宗派に通じて仏教の入門書といわれる「八宗綱要」を記した「凝然国師(ぎょうねんこくし)」が亡くなって、今年2021年は700年忌にあたります。 京都国立博物館ではこの記念の年に、鑑真以来の戒律を守った僧たちと、日本での戒律の展開をまとめた特別展が開かれます。 鑑真が晩年を過ごした唐招提寺は大きな災害がなく、当時の建造物や仏像が残っています。 今回は唐招提寺の他、西大寺や泉涌寺など、戒律を守った僧ゆかりの寺院から、多くの資料が集められるようです。
この展覧会で観られる国宝
チラシの表紙にもなっている鑑真像は、たしか社会の教科書にも載っていたような・・・、とても有名な像で、鑑真の没後に弟子が作らせたものです。 6/5~7の3日間しか公開されませんが、公開場所の新宝蔵では厨子に入った像を数メートル先から拝見するので、耳毛まで忠実に描かれているとかいった細かい点は観ることができません。 国立博物館の展覧会では、360度で観られたり、ごく近くで観られたりすることが多いので、ぜひ細かいところまで観せていただこうと思っています。
鑑真像とともに通期で公開される「金亀舎利塔」もなかなか観ることができないものです。 鑑真が来日する時に、仏舎利を持ってきました。 貴重な仏舎利は、小さなガラスの壺に入れて、繊細なレース編みにくるまれいて、この壺とレースは国宝に指定されています。 平安~鎌倉時代頃に作られた金銅製の亀に乗った舎利塔に納められていて、10/21~23の3日間だけ公開されるものです。 壺とレースは公開されるか不明ですが、舎利塔は公開されるようです。
通期
国宝『鑑真和上坐像』[唐招提寺]
国宝『⾦銅舎利容器(⾦⻲舎利塔)』[唐招提寺]
国宝『唐招提寺 金堂』から「天井支輪板」
国宝『金銅宝塔(壇塔)』[西大寺]
国宝『興正菩薩叡尊像内納入品』前後で展示替えあり[西大寺]
国宝『東大寺文書』から「戒壇院定置」~4/18は凝然自筆本、4/20~は書写本[東大寺]
国宝『附法状(俊芿筆)』[泉涌寺]
国宝『伝獅子吼菩薩立像』[唐招提寺]
国宝『法然上人行状絵図(法然上人絵伝)』~4/18は巻5、4/20~巻10[知恩院]
国宝『五智如来坐像』[安祥寺]
前期(3/27~4/18)
国宝『円珍関係文書』から「円珍戒牒」[東京国立博物館]
後期(4/20~5/16)
国宝『観世音寺資財帳』巻中[東京芸術大学]
国宝『興正菩薩叡尊坐像』[西大寺]
展覧会 概要
※緊急事態宣言のため、4/25~5/11は休館、5/12~再開
期間:2021/3/27~5/16
休館:月曜日(5/3は開館し、5/6は休館)
時間:9:00~17:30
料金:一般¥1,800、大学生¥1,200、高校生¥700
鑑真和上と戒律のあゆみ 公式サイト LINK