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情報|東京国立博物館「国宝室」2023年度スケジュール

情報-博物館・美術館

国宝室とは

東京国立博物館本館の2階にある、国宝が1点だけ展示される部屋です。 数週間~1ヶ月ほどで展示替えがあり、東京国立博物館が所蔵または寄託されている国宝から、年に十数件が公開されます。 室の中央には椅子があり、落ち着いた雰囲気の中で国宝が鑑賞できる貴重な空間です。

東京国立博物館 国宝室

2023年度スケジュール

2022年は東京国立博物館150周年記念で、平成館の特別展「国宝のすべて」が開かれたので、本館の国宝室は「未来の国宝」というテーマで、学芸員さんイチオシの国宝ではない作品が並んでいました。 2023年度は元の国宝室に戻って、厳選された国宝が1点ずつ鑑賞できます。 

普賢菩薩像[東京国立博物館]4/11~5/7

白象の上に結跏趺坐する普賢菩薩を描いた平安時代後期の仏画です。 この時代には女人救済を説いた法華経が人気で、この絵も高貴な女性の元にあったのではないでしょうか。

衣や装飾品は、華やかに着色された上に繊細な截金が施され、大変華やかです。

国宝『普賢菩薩像』東京国立博物館

渓陰小築図[金地院/京都]5/9~6/4

縦長の紙の下部に水墨画を描き、上部には禅僧達が漢詩などを書く「詩画軸」の代表的な作品で、京都南禅寺の塔頭「金地院」に伝わったものです。 南禅寺の僧が自身の書斎に「渓陰」と名付けたのを記念して作られた、いわばお祝いの寄せ書きのような作品です。

普賢菩薩像[豊乗寺/鳥取]6/6~7/2

東博所蔵の普賢菩薩像に続き、鳥取県の豊乗寺(ぶじょうじ)に伝わる普賢菩薩像が登場します。 白象の上に普賢菩薩が乗る姿は共通ですが、こちらの方がやや古い様式のようです。

法華経 巻第六(色紙)[金剛峯寺/和歌山]7/4~7/30

平安時代の装飾経で、色とりどりに染められた紙を継いだ料紙に法華経が書かれています。 半年後に国宝室に登場する『群書治要』も色紙が使われています。

円珍関係文書から「円珍戒牒」[東京国立博物館]8/1~8/27

延暦寺の5代座主で、天台宗寺門派を開いた「智証大師円珍」に関する古文書類で、今回は正式な僧侶の証明書である「戒牒」が公開されます。

国宝『円珍関係文書』から「円珍戒牒」

法華経(久能寺経)[鉄舟寺/静岡]8/29~10/1

推古天皇の時代に現在の静岡県に創建された久能寺は、明治時代に山岡鉄舟によって再興されて寺名も鉄舟寺と改められました。 法華経を1品(1ブロック)ごとに縁の人物が書写して結縁する「結縁一品経」で、鳥羽天皇と待賢門院を中心として作られた、華やかな装飾経です。

法華経方便品(竹生島経)[東京国立博物館]10/3~11/5

今年の国宝室は装飾経が多めでしょうか、こちらは琵琶湖に浮かぶ信仰の島「竹生島」に伝わった法華経です。 装飾経でも初期の作例のようで、金銀泥で花鳥が散らされています。

法華経方便品(竹生島経)

十六羅漢像 から第六尊者[東京国立博物館]11/7~12/3

国宝室のレギュラーメンバー的な作品ですが、16幅もあるので全て観るのはなかなか大変です。 滋賀県大津市にある聖衆来迎寺に伝来したもので、十六羅漢図としては現存最古といわれます。 羅漢図は奇怪な風貌に描かれるものもありますが、こちらは平安時代に描かれたもので、風貌などは上品に表現されています。

松林図屏風 長谷川等伯筆[東京国立博物館]1/2~1/14

東京国立博物館のお正月といえばこの1枚、長谷川等伯の松林図屏風で、墨だけで凍り付くように寒い冬の松林を表現しています。 紙がそれほど上等なものでなく継ぎ方も雑なので、障壁画の下絵だったという説もありますが、非常に迫力のある筆跡です。

聖徳太子及天台高僧像 から「慧文大師像」[一乗寺/兵庫]1/16~2/12

兵庫県にある天台宗の古刹「一乗寺」に伝わった高僧画で、天台宗に関りの深い9名に聖徳太子を加えた10幅のうち、中国の天台僧「慧文(えもん)」を描いた1枚が公開されます。

金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 から「第一幀」「第四幀」[中尊寺大長寿院/岩手]2/14~3/10

遠目で観ると十重塔の周囲に仏が描かれた絵画のようですが、近づくとこの塔が細かいお経で形作られていて驚きます。 平安後期~鎌倉時代に流行した装飾経の一種で、経典ですが絵画として国宝に指定されています。

群書治要[東京国立博物館]3/12~4/7

唐時代の中国で成立した政治のための参考書で、日本には平安初期に伝わったと考えられています。 こちらは公家の九条家に伝わった、様々な色紙を継いだ華やかなものです。


※『普賢菩薩像』『円珍関係文書』『松林図屏風』の画像は「研究情報アーカイブズ」のものを使用しています。


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