国宝『刀 金象嵌銘城和泉守所持/正宗磨上本阿(花押)』
鎌倉時代に、相模国(現在の神奈川県の一部)の名工「正宗」によって作られた刀で、所有した人物から「城和泉正宗」「津軽正宗」とも呼ばれる。 正宗による銘は入っておらず、江戸時代初期の刀剣鑑定家「本阿弥光徳」が鑑定をし、刀剣に関する金工を行った「埋忠寿斎」が磨上げて、金象嵌の銘を入れた。 これは、寿斎がまとめた「埋忠銘鑑」に、慶長14年(1609年)と記録されている。
象嵌銘にある「城和泉守」は、元は武田家の家臣で、武田家が滅んだ後は徳川家に仕えた「城昌茂」のこと。 後に、弘前藩(現在の青森県)の津軽家の所有となった。 刀身は細身でやや反りが高く、刃文はのたれに小乱れが交じる、正宗の特徴がよく出ている。
この国宝を観るには
東京国立博物館の刀剣類の中では、公開される機会が少ない方なので、公開されたら見逃さないようにしたい。
公開履歴
2024/1/16~3/10 東京国立博物館「本阿弥光悦の大宇宙」
2022/10/18~12/18 東京国立博物館 150周年「国宝 東京国立博物館のすべて」
2020/12/1~2021/2/28 東京国立博物館 13室
2017/12/5~2018/2/25 東京国立博物館
正宗作の国宝刀剣
刀 無銘正宗(観世正宗)[東京国立博物館]
刀(名物 中務正宗)[文化庁/東京国立博物館蔵]
刀 無銘正宗(名物 太郎作正宗)[前田育徳会]
短刀 無銘正宗(名物 庖丁正宗)[永青文庫/東京]
短刀 無銘正宗(名物 庖丁正宗)[徳川美術館/愛知]
短刀 無銘正宗(名物 庖丁正宗)[個人蔵]
短刀 無銘正宗(名物 日向正宗)[三井記念美術館/東京]
短刀 無銘 正宗(名物 九鬼正宗)[林原美術館/岡山]
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-308
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00022-00
【指定名称】刀〈金象嵌銘城和泉守所持/正宗磨上本阿(花押)〉
【ふりがな】かたな〈きんぞうがんめいじょういずみのかみしょじ/まさむねすりあげほんあ(かおう)〉
【員数】1口
【時代・年】鎌倉時代
【寸法・重量】刃長70.8cm、反り2.2cm、元幅2.6cm、先幅1.5cm、鋒長3.0cm
【品質・形状】鎬造、庵棟、身幅広からず、鋒延びず。重ね薄く、板目鍛に地景交じり、地沸頗る厚く、指表に湯走りあり。刃文は湾れに小乱れ交じり、足葉入り、沸深く凝り、金筋所々にかかり
【伝来・他】「城和泉守所持正宗磨上本阿(花押)」の金象嵌名がある。 城景茂-津軽家
【所在地】東京国立博物館
【国宝指定日】1951.06.09
【説明】正宗は相州伝の大成者として著名である。独特の沸出来の妙を遺憾なく発揮し、同門の則重に似たところがあるが、一段と地刃晴れやかに美しく、大らかであり、正宗の特色をよく示している。『埋忠銘鑑』によると、慶長十四年六月に、埋忠寿斎が磨上げ、本阿弥光徳の金象嵌銘を施したということである。武田信玄家臣でその後に徳川家康に仕えた城景茂が所持し、後に津軽家に伝わった。
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