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情報|京都国立博物館「日中 書の名品」2023/8/8~9/18

情報-博物館・美術館

名品ギャラリー(通常展)特集展示「日中 書の名品」

全国に4つある国立博物館のうち、東京と九州は開館している時は原則としていつでも観られる通常展(東博は総合文化展、九博は文化交流展示室)と、別料金の特別展が開かれる時期があります。 京都と奈良にはいつも観られる通常展示はなく、特別展のない時期に同じ会場で通常展(京博は名品ギャラリー、奈良博は名品展)を開くことがあります。 4館とも通常展はお手頃価格(東博のみ¥1,000、他は¥700)で観られるわりに、クオリティはものすごく高いので(しかも空いていることが多い)おススメの高コスパ博物館なんです。

この夏の京都国立博物館は、6/20~9/18まで名品ギャラリーとして開館していて、様々な企画で楽しませてくれます。 その中でも国宝が非常に多いのがこの「日中 書の名品」で、前後期あわせて全27点が公開される内、国宝が11点、重要文化財が8点という豪華さです。 日本の名品では、空海や藤原行成ら能書家の名筆や奈良時代の古写経など、中国の名品では高宗や米芾の書の他、王羲之や褚遂良の拓本なども並ぶようです。 

京都国立博物館「日中 書の名品」チラシ

この展覧会で観られる国宝

京都国立博物館「日中 書の名品」チラシより

通期(8/8~9/18)

浄名玄論[京都国立博物館]

浄名玄論(じょうみょうげんろん)は、三論宗を大成した随~唐時代の僧、嘉祥大師吉蔵が書いた維摩経についての解説書です。 今回公開される第6巻の奥書には慶雲3年(707年)とあり、書写年のはっきりした日本の写経では2番目に古いものです。

大般若経(長屋王経・和銅経)[太平寺/滋賀]

天武天皇の孫で有力な皇族だったが政変で不幸な最期を遂げた長屋王が、慶雲4年(707年)に崩御した文武天皇の冥福を祈って、和銅5年(712年)に発願した大般若経600巻の内の1巻です。 この時代は、中国で大般若経が翻訳されてからまだ50年ほどしか経っておらず、最古級の大般若経のようです。

千手千眼陀羅尼経残巻(天平十三年七月十五日玄昉願経)[京都国立博物館]

玄昉願経の通称の通り、入唐して玄宗皇帝から紫衣を許された玄昉が発願した経典です。 東大寺の記録にも、天平13年(741年)の盂蘭盆会に千手経1,000巻を供養したことが残っていますが、現存するのはわずか109行だけが残るこの巻だけです。

新撰類林抄[京都国立博物館]

李白や王維など唐時代の詩人の漢詩をテーマごとに分類して編纂したもので、長いこと空海の書だという伝承があったようですが、現在では別人の筆跡だと考えられているようです。 この巻の断簡は「南院切」と呼ばれるそうです。

日本書紀(岩崎本)[京都国立博物館]

日本最古の歴史書「日本書紀」の古い写本で、三菱財閥の岩崎家が旧蔵していたので「岩崎本」と呼ばれます。 第22と第24の2巻ある内の、皇極天皇について書かれた第24巻が公開されます。 

本能寺切(伝藤原行成筆)[本能寺/京都]

平安中~後期の名筆3人(小野道風、藤原佐理、藤原行成)は「三跡」と呼ばれ、一番遅い時代の藤原行成は和様の書を大成した人物で、書の世尊寺流の始祖です。 これは菅原道真や小野篁の漢詩を行成が書写したと伝わり、本能寺に伝来したので「本能寺切」と呼ばれています。

菩薩処胎経[知恩院/京都]

知恩院が所有する全5帖の古写経の内、今回公開される第2~第4帖の3帖は中国・西魏時代の元号「大統16年(西暦550年、日本では欽明天皇11年)」の奥書があり、これは出土ではない伝世品としては最古という貴重なものです。

前期(8/8~8/27)

漢書 楊雄伝[京都国立博物館]

漢書は、中国の前漢時代(紀元前202年~紀元8年)について書かれた歴史書で、皇帝にも仕えた文人で思想家「揚雄(ようゆう)」の伝記部分です。 7世紀頃に書写されて、平安中期位までには日本にもたらされていたようで、唐時代に書写された漢書はこれだけなんだそうです。

徽宗文集序[文化庁]

南宋の初代皇帝「高宗」が、父で北宋最後の皇帝となった「徽宗」の文集に序を記したものです。 徽宗といえば、昨秋の京博の茶の湯展で8年ぶりに公開された国宝『桃鳩図』を描いた人物です。 父子で書画に優れていたんですね。

後期(8/29~9/18)

金剛般若経開題残巻(空海筆)[京都国立博物館]

日本を代表する能書家の空海の真筆で、金剛般若経についての解釈が書かれており、書き直しの跡などからこれは下書きだったと考えられているそうです。 早くに断簡にされてしまったようで、京博には63行分があり、奈良博の38行分も国宝に指定されています。

真草千字文(智永筆)[個人蔵]

千字文というのは中国の漢字版「いろは唄」で、千もの漢字を重複することなく1度ずつ使って漢詩が作られています。 真草の真は楷書、草は草書のことで、千字文が2つの書体で書かれた書のお手本のようなものです。 王義之の子孫で随時代に活躍した書家「智永」の現存唯一の真筆です。

この時期に京都国立博物館で観られる国宝

6/13~9/10
国宝『剣 無銘(三鈷剣)』[金剛寺/大阪]
国宝『金銀鍍透彫華籠』[神照寺/滋賀]

7/19~8/20
国宝『病草紙』7/19~8/20「痔瘻の男」、7/19~7/30「毛虱」、8/1~8/20「小舌の男」

8/22~9/18
国宝『華厳宗祖師絵伝(華厳縁起)』[高山寺/京都]

展覧会 概要

日程:2023/8/8~9/18
休館:月曜日(9/18は開館)
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥700、大学生¥350、高校生以下無料
※この展示は名品ギャラリー(通常展)の一部で、上記料金ですべての展示を観ることができます。

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