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情報|根津美術館「北宋書画精華」2023/11/3~12/3[東京]

情報-博物館・美術館

北宋書画精華 展

南青山のオアシス 根津美術館は、年に6~7つ程の展覧会があり、その内の2~3回は特別展として、他館から作品を招いたりと気合の入った内容になります。

この秋の特別展は「北宋書画精」で、北宋時代の絵画や書跡がテーマです。 花鳥などを描いた南宋絵画は室町将軍の東山御物など数が多く、古美術鑑賞が好きな方にはお馴染みですが、北宋はあまりメジャーではありません。 それだけに、貴重な北宋の書画が日本中だけでなく海外からも集められています。

チラシ表面のタイトルの上下にある2つの絵画が主役で、上の馬の絵は流転の末に何年か前に東博に寄贈されて話題になり、2019年の顔真卿展でも公開された「五馬図巻」です。 北宋に献上された5頭の馬を描いたもので、その馬を引く西域の人物たちの衣装なども面白いんです。 そして下の絵も五馬図巻と同じ李公麟が描いたもので、アメリカのメトロポリタン美術館が所蔵する「孝経図巻」です。 色合い的には地味ですが、五馬図巻を近くで観て驚いた経験から、こちらも実物を間近でじっくり観てきたいと思います。

他にも日本国内から集められた国宝が8件11点公開されますが、前後期で展示替えや巻替えがあることと、桃鳩図は3日間しか公開されませんので、この期間に行きたい方は早めの予約が必須です。

根津美術館「北宋書画精華」チラシ

この展覧会で観られる国宝

通期

古今和歌集序(巻子本)[大倉集古館]

藤原行成のひ孫で、世尊寺流4代目の藤原定実の書写した古今和歌集です。 北宋の書画をテーマにした展覧会で、なぜ平安時代末期の和歌集かというと、宋で作られた装飾料紙が使われているからなんです。 色紙位のサイズの色とりどりの染紙に、蠟箋(ろうせん)や雲母刷りをして、それを巻物状に継いであって、とても華やかです。 前期・後期で巻き替えされるようです。

釈迦如来立像像内納入品[清凉寺/京都]

京都の嵯峨野にある清凉寺は、通称「嵯峨釈迦堂」と言われるほど本尊の釈迦如来像が有名で、インドの優填王が生前のお釈迦様を等身大で模した像を、東大寺の奝然が中国で模刻を作って日本に持ち帰ったという像で、これを更に模した像がたくさん作られて日本各地に「清凉寺式釈迦如来像」があるほどです。 清凉寺の釈迦像の胎内からは、結縁者が納めた納入品が見つかっていて、今回公開される絵画2点「弥勒菩薩像」「霊皿変相図」はどちらも像内納入品です。 

十六羅漢像 [清凉寺/京都]

この羅漢図も奝然が宋時代の中国から請来したもので、北宋様式の傑作と言われています。 羅漢図は妖怪っぽい風貌に描かれることも多いですが、こちらはわりと上品な表現で、掛軸1幅に1人の羅漢が描かれ16幅すべてが現存しています。 今回は「第14尊者」「第15尊者」の2幅が通期で公開されます。

山水図(李唐筆)[高桐院/京都]

作者の李唐(りとう)は、後述の桃鳩図を描いた北宋最後の皇帝である徽宗皇帝の画院にいた人物で、北宋が滅亡した後は流転の末に、南宋の高宗皇帝の画院に入った人物で、北宋絵画の様式を南宋に伝えたのだそうです。 高桐院では毎年10月の大徳寺本坊の曝涼と同じ日に公開していましたが、コロナ以降は中止になっていたので、久しぶりの公開です。

圜悟克勤墨蹟(流れ圜悟)[東京国立博物館]

圜悟克勤(えんごこくごん)は中国・宋時代の禅僧で、北宋の徽宗皇帝からは「仏果」の号、南宋の高宗皇帝からは「圜悟」の号を授かったほど人々の尊崇を集めていました。 これは弟子の虎丘紹隆に悟りの印である「印可」を与えたもので、桐の箱に入って日本に流れ着いたという伝説から「流れ圜悟」と呼ばれています。 なんとあの一休さんや侘茶の祖と言われる村田珠光が所持し、伊達政宗の所望で古田織部が2つに分割し、その前半部分は松平不昧公の手に入り、やがて松平家から東博に寄贈されたという来歴です。

倭漢朗詠抄 巻下残巻(太田切)[静嘉堂文庫/東京]

こちらも大倉集古館の古今和歌集と同じで、唐からの舶載料紙が使って日本で書写された歌集です。 朗詠(声に出して詠むこと)するための歌集で、倭漢とある通り漢詩や和歌が混ざっています。 筆者は不明ですが、端正な感じと優雅な仮名の両方を観ることができます。 こちらも前期・後期で巻き替えされます。

後期(11/21~12/3)

孔雀明王像[仁和寺/京都]

後期だけ公開されるのは、京都の由緒ある大寺院の仁和寺(にんなじ)が所蔵する孔雀明王の仏画で、北宋時代に描かれたものです。 日本ではあまり見かけないタイプのエキゾチックな風貌で、日本では一面四臂(1つの顔と4本の手)が多い孔雀明王ですが、こちらは三面六臂(3つの顔と6本の手)のお姿です。

期間限定(12/1~12/3)

桃鳩図(徽宗筆)[個人蔵]

今回のリストが発表されて一番驚いたのがこの桃鳩図で、10年に1週間ほどしか公開されないという噂があり、ちょうど1年前に京博の茶の湯展で4日間だけ公開されたのを日程調整して観に行ったものです。 今回は会期終了前の3日間だけ公開されるので、去年の4日とあわせてちょうど1週間・・・、噂は本当なのでしょうか。 絵画は色紙ほどのサイズに、桃花の咲く枝にとまった鳩が描かれていて、この鳩の羽根の色合いが何とも言えず美しいのです。 北宋最後の皇帝の徽宗が描いたもので、そういわれるとなるほど高貴な感じがしてきます。

根津美術館「北宋書画精華」チラシより

展覧会 概要

期間:2023/11/3~12/3
休館:毎月曜日
時間:10:00~17:00
料金:一般¥1,800、学生¥1,500
※日時指定の事前オンライン予約が推奨されています。

根津美術館 公式サイト

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