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情報|東京国立博物館「最澄と天台宗のすべて」2021/10/12~11/21[東京]

情報-博物館・美術館

最澄と天台宗のすべて 展

遣唐使船で唐に渡り、日本で天台宗を開いた伝教大師「最澄」は、弘仁13年(822年)に亡くなっていますので、今年は1200年の大遠忌にあたります。 10~11月の東京を皮切りに、2022年2~3月は九州、4~5月は京都の国立博物館で「最澄と天台宗のすべて」という記念展覧会が開かれます。

延暦寺や三井寺など天台宗の古刹には多くの文化財が伝わっていて、特に国宝は3か所の展覧会で出展されるものが違うようで、コロナがおさまっていたら遠征したいような濃~い内容です。 少し前のニュースで、宮内庁からの勅使が延暦寺を訪れて、この展覧会のために勅封を解いているところが紹介されていましたが、そんな風に守られてきたものが観られるとは、現代に生まれて本当によかったなと思います。

東京国立博物館「最澄と天台宗のすべて」チラシより

東京展で私が注目しているのは、まず、普段は秘仏でめったにご開帳されない、三井寺の『智証大師坐像(御骨大師)』でしょうか。 春の聖徳太子展での聖徳太子と侍者像に続いて、激レアな秘仏がしかも博物館のライトアップで観られるのですから、今年は秘仏の当たり年かもしれません。

東博や奈良博で時々1幅ずつ公開される、兵庫県一乗寺の『聖徳太子・天台高僧像』は3か所に分蔵されていますが、11/2~7の1週間だけ全10幅が全て揃って公開されます。 国宝のラインナップだけみていると前半に集中していますが、この1週間も捨てがたいですね。

最澄の直筆『山家学生式』や、三筆の1人嵯峨天皇の真筆『光定戒牒』なども、あまり公開されない国宝です。 『光定戒牒』と最澄の書状『久隔帖』は、東京展でのみ公開されるようで、京都では染織や工芸が、九州では地元の仏像がと、各博物館の得意分野や地元の強みが活かされているのでしょうか。

東京国立博物館「最澄と天台宗のすべて」チラシより

この展覧会で観られる国宝

通期

聖徳太子・天台高僧像[一乗寺/兵庫] 

通期 10/12~11/21「慧文」「灌頂」
前期 10/12~11/7「最澄」「円仁」「龍樹」「善無畏」
後期 11/2~11/21「智顗」「慧思」「湛然」「聖徳太子」
※11/2~11/7は10幅全てが同時に公開されます

天台宗で重視される、インド~日本の高僧+聖徳太子を描いた肖像画で、 平安時代に描かれたもので、おっとりと穏やかな平安仏画のような高僧像です。 東博に2幅、大阪市美に1幅、残りの7幅は奈良国立博物館と分蔵されているので、11/2~7に全10幅が揃う期間はとても貴重です。

東京国立博物館「最澄と天台宗のすべて」チラシより  国宝『天台高僧像』

六道絵[聖衆来迎寺/滋賀]

前期 10/12~11/7「人道浄相」「人道苦相Ⅰ」「人道苦相Ⅱ」
後期 11/2~11/21「等活地獄」「餓鬼道」「譬喩経所説念仏功徳説話」「優婆塞戎経所説念仏功徳説話」

比叡山の琵琶湖川の麓にある「聖衆来迎寺」に伝わる、鎌倉時代に描かれた六道絵で、前期には私たちの生きている人間世界の苦しみ描かれた3点が、後期には地獄道・餓鬼道と仏教の功徳について書かれた2点が公開されます。

智証大師関係文書典籍[園城寺(三井寺)/滋賀]

前期 10/12~11/7「最澄台州明州公験写」「円珍台州公験請状 」「福州温州台州求法目録」
後期 11/2~11/21「徳円印信之類」「国清寺求法目録」

第5代天台座主で、園城寺(三井寺)を総本山とする天台宗寺門派を開いた「智証大師円珍」に関する文書です。 円珍は唐に留学していますので、その時の資料は世界的に見ても貴重なもののようです。

智証大師坐像(御骨大師)[園城寺(三井寺)/滋賀]

三井寺の秘仏で、ごく特別な機会にしか開帳されない円珍の像です。 亡くなって間もなく作られたもので、中には円珍の御骨が納められているので「御骨大師」と呼ばれています。 卵型の頭に穏やかな表情は、とても可愛らしい印象です。

嵯峨天皇宸翰 光定戒牒[延暦寺/滋賀]

平安時代初期の名筆家3人を指す「三筆」は、嵯峨天皇・空海・橘逸勢で、これは嵯峨天皇の唯一の真筆なのだそうです。 最澄の弟子の僧「光定」が戒を受けて正式な僧侶になった時の身分証です。

釈迦如来倚像[深大寺/東京]

東京都に2つしかない国宝仏像の1つで、法隆寺の『夢違観音像』や新薬師寺の「香薬師像」に近い工房で作られたと考えられる、飛鳥時代の銅造仏です。 スッと背筋を伸ばして腰掛けている姿は、現代的な雰囲気も感じます。

法華経(浅草寺経)巻第2[浅草寺/東京]

浅草寺に伝わる平安時代の装飾経で、小野道風の書写だという伝承があります。 法華経の全10巻が揃っていて、東博に寄託されているので、仏教美術の通常展でも年に1~2回は公開されています。

法華一品経(慈光寺経)勧持品第13[慈光寺/埼玉]

平安末~鎌倉時代には、亡くなった人の菩提を弔うために縁者が1巻ずつ写経をすることが流行し、これは九条良経の死を悲しんで後鳥羽上皇の周囲の人々が書写したものです。 平安末らしい華やかな装飾経です。

前期(10/12~10/31)

伝教大師度縁案並僧綱牒[来迎院/京都]

伝教大師最澄に関する文書で、僧侶の資格を証明する書類3通が1巻になっています。 2通は写しですが、僧綱牒という1通は正式な書類で、僧綱の印も押されているようです。

天台法華宗年分縁起(山家学生式)最澄筆[延暦寺/滋賀]

最澄が延暦寺での戒壇を認めてもらえるように、嵯峨天皇に上奏した直筆文書で、山家学生式と呼ばれています。 書き始めは「国宝」で国の宝とは何かが書かれ、文章内には天台宗の寺院でよく見かける「照千一隅(一隅を照らす)」も出てくる重要な文書です。

尺牘 久隔帖 伝最澄筆[奈良国立博物館]

最澄の弟子で、空海に預けていた「泰範」にあてて書かれた漢文の書状=尺牘で、弟子宛としながら内容的には空海に質問をしていて、空海の目に触れることも想定して書かれたのでは?というものです。 スッキリとした行書で書かれています。

五部心観[園城寺(三井寺)/滋賀]

五部心観は、様々な仏の姿や持ち物などを、彩色せずに線だけで表す「白描」で描いたもので、智証大師円珍が唐から持ち帰った1巻と、それを日本で書写した1巻がそれぞれ国宝に指定されています。 今回は平安時代となっているので、書写本が公開されるようです。

普賢菩薩像[豊乗寺/鳥取]

空海の実弟で弟子でもある「真雅」が開いたと伝わる、鳥取と岡山の県境に近い豊乗寺に伝わった普賢菩薩の仏画です。 昨年、東博の国宝室で公開されたのですが、截金や彩色が華やかで高貴な雰囲気でした。

後期(11/2~11/21)

羯磨金剛目録[延暦寺/滋賀]

最澄が唐への留学から戻った時に、仏具などを日本に持ち帰って延暦寺に納めていますが、この目録はその時のリストで最澄の直筆です。 一部が焼けてしまい、現存する最初が「羯磨金剛」で始まるので、この名前で呼ばれているものです。

展覧会 概要

期間:2021/10/12~11/21
休館:月曜日
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥2,200、大学生¥1,400、高校生¥1,000

展覧会 特設ページ
東京国立博物館 公式サイト

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