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情報|香川県立ミュージアム「空海」2023/4/22~5/21[香川]

情報-博物館・美術館

空海-史上最強、讃岐に舞い降りた不滅の巨人

今年2023年は、弘法大師空海が生れて1250年にあたり、真言宗の各寺院では記念の法要やイベントが開催されます。 特に盛り上がっているのが生誕の地である香川県で、空海の生家跡が寺院になっている善通寺では、秘仏絵画「瞬目大師像」のご開帳や、東京・名古屋・福岡へのお砂踏み出開帳などイベント盛りだくさんです。

この善通寺には国宝が2件ありますが、それぞれ年に1日しか公開されず、展覧会への出展もあまり多くないレア国宝なのです。 これが2件とも公開される展覧会が同じ香川県で開かれます。 善通寺からの2件の他にも高野山の金剛峯寺や国立博物館からも多数の出展があり、全期間では国宝10件、重要文化財15件という充実の展覧会です。

同じ期間には香川県立ミュージアムが所蔵する国宝『藤原佐理筆詩懐紙』と、香川県の個人が所蔵する国宝『肥前国風土記』も公開されます。 この2件が公開される常設展の1室では「空海の生涯と事績」というテーマで、各寺院や博物館が所蔵する空海に関する国宝の複製が展示されており、個人使用なら撮影も可能ですので、先に常設展で予習してから特別展を観覧してもいいかもしれません。

香川県立ミュージアム「空海」チラシ

この展覧会で観られる国宝

以下の国宝の写真は別日に撮影可能な展覧会で撮影したもので、この展覧会は写真撮影不可です。

通期

善女竜王像(定智筆)[金剛峯寺/和歌山]

空海には、宮中で雨乞いをして雨を降らせたという有名な逸話があり、その時に祈祷でインドから呼び寄せたとされるのがこの「善女龍王」です。 善女とあるので女神様をイメージしてしまいますが、唐の貴人の風俗をした男性の姿で、衣の裾から覗く竜のしっぽをお見逃しなく。

日本書紀(田中本)巻第十残巻[奈良国立博物館]

日本書紀は日本最古の歴史書で、飛鳥時代までしか書かれていないはずなのに何故?と思ったら、この日本書紀の紙背(紙の裏側)に空海の詩文集「性霊集」が書かれているのです。 日本書紀は奈良時代末期~平安時代初期に書写された現存最古のもので、その裏に書かれた性霊集も現存最古の写本なのだそうです。 今回は裏表とも見えるように展示され、期間によって公開部分が替わるようです。

国宝『日本書紀(田中本)巻第十残巻』奈良国立博物館

後宇多天皇宸翰弘法大師伝[大覚寺/京都]

出家後に大覚寺に入った後宇多法皇は、真言宗に深く帰依して空海にも心を寄せていたそうで、こちらは後宇多法皇が文を選んで自筆で書いたという空海の伝記です。 紙より書きにくい絹に書かれていますが、学問を好み名筆として名高かった後宇多法皇の書は実に立派なものです。  

三十帖冊子[仁和寺/京都]

名前の通り30帖が現存する冊子は、唐に渡った空海が手元に置いて経典などを写したもので、写経生の手も借りたようですが空海の自筆部分も多いようです。 期間を通して公開されますが、途中でページが替わるようです。

真言七祖像[東寺/京都]

京都の東寺こと教王護国寺に伝わる大型の肖像絵画で、真言宗の伝承にとって重要な7名の僧が描かれています。 空海が師事した僧の恵果から金剛智・不空・善無畏・一行・恵果の5幅が贈られ、空海が日本に戻ってから龍猛・龍智を足して七祖としたといわれ、今回は真言密教をインドに広めた「龍智」の像が公開されます。

前期(4/22~5/7)

諸尊仏龕[金剛峯寺/和歌山]

仏龕(ぶつがん)は、仏像などを安置する厨子や小室のことで、こちらは師の恵果から譲られて空海が枕本尊として日々礼拝したと伝わる、高野山三大秘宝の1つです。 諸尊の文字からわかるように、仏龕を開くと様々な仏様が彫られていて、中央には釈迦如来と弟子、向かって右には観音菩薩、左には弥勒菩薩を中心に菩薩や天部がところ狭しと彫られています。

金剛般若経開題残巻(空海筆)[京都国立博物館]

こちらも空海直筆の書で、金剛般若経についての解釈を書き記しています。 草書と行書が混ざっていたり、書き直しの跡があるので、下書きではないかと考えられています。 元は京都の神光院に伝わったものがいくつかの断簡になっていて、後期には奈良国立博物館に所蔵されている国宝が公開されます。

一字一仏法華経序品[善通寺/香川]

空海の生誕地跡にある善通寺に伝わる国宝で、法華経の1文字ずつの横に仏様が描かれている「経仏交書経」です。 文字は空海が、仏様は空海のお母様が描いたという伝承ですが、制作時期はもっと後の時代の平安中~後期位のようです。 仏様がとても優しいおっとりした雰囲気の、ゆるかわな装飾経です。 善通寺で11/3に開かれる「空海まつり」でしか公開されないレア国宝です。

国宝『一字一仏法華経序品』のレプリカ[香川県立ミュージアム]

後期(5/9~5/21)

金銅錫杖頭[善通寺/香川]

修業中の空海像や地蔵菩薩像が先端に金属の輪のついた杖を持っている姿を見かけますが、あれが錫杖(しゃくじょう)といって、揺らすと輪がぶつかり音が鳴るようになっていて、山で獣害から身を守るだけでなく、煩悩や邪を払うなど法具としての意味もあるようです。 空海が師の恵果から贈られたもので、輪の中央にある5像は阿弥陀三尊と両脇2躯は裏表で四天王になっています。 通常は6/13・14の2日間のみ善通寺で公開されます。

金剛般若経開題残巻(空海筆)[奈良国立博物館]

前期には京都国立博物館所蔵の63行分が公開される空海直筆の金剛般若経の解釈で、後期には現在は奈良国立博物館が所蔵する38行分が公開されます。 元は1つの書だったものが、期間がズレるとはいえ同じ場所で再開できるのはワクワクしますね。

国宝『金剛般若経開題残巻(空海筆)』奈良国立博物館

常設展で観られる国宝

これだけの文化財が地方都市の展覧会に集まるとは、さすが空海ゆかりの地です。 ミュージアムの力の入れ方も並々ならず、同館が所蔵する国宝と、香川県の個人が所蔵する(もしかしたら同館の寄託でしょうか?)国宝も、同じ期間に公開され、特別展「空海」のチケットで通常展も観ることができます。

藤原佐理筆詩懐紙[香川県立ユージアム]

公開期間が4/15~5/7なので、後半は複製の展示になってしまいますが、平安中~後期の名筆家3人を称する三蹟の1人「藤原佐理」直筆の書です。 高松松平家に伝来したもので、初代藩主の松平頼重が弟で水戸徳川家を継いだ水戸光圀から譲られた家宝です。 常設展示室1「多度津藩政資料を読む」で展示されます。

肥前国風土記[個人蔵]

奈良時代に元明天皇の勅命で各国ごとの風土や文化を記録した「風土記」の写本で、佐賀県と長崎県の一部にあたる肥前国のことが書かれています。 常設展示室3「弘法大師空海の生涯と事績」で、4/22~6/15の期間のみ公開されていて、遣唐使に関する記述があります。 

香川の国宝、スタンプラリー

展覧会期間中は、善通寺の国宝2件が前後期に分かれていますが、香川県の文物の国宝はすべてこちらで公開されることになります。 香川県には国宝建築物が2件あり、ミュージアムでの4つの国宝と建築2件をめぐるスタンプラリーが企画されています。 スタンプラリーの景品は、数字の1250がクールにデザインされた空海生誕1250年記念グッズで、スタンプカードが応募はがきになっています。

この写真のスタンプカードは私が前期に行った時のものですが、後期のみ公開で当日は観られなかった国宝『金銅錫杖頭』の分はスタンプが紺色になっているのでレプリカという意味でしょうか? とりあえずどちらかの期間だけでも応募は可能なようです! ちなみに私はミュージアムの後に本山寺と神谷神社にも行ったのですが、スタンプカードを持っていくのを忘れたので、応募がかないませんでした、残念。

国宝『本山寺本堂』香川県三豊市

国宝『神谷神社本殿』香川県坂出市

展覧会 概要

期間:2023/4/22~5/21
休館:毎月曜日(5/1は開館)
時間:9:00~17:00
料金:一般¥1,200、高校生以下・65歳以上・障害者手帳等のある方は無料
   5/18(木)は「国際博物館の日」で全員観覧料無料

香川県立ミュージアム 公式サイト

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