聖徳太子1400年遠忌
ある年代以上の方々には、高額紙幣のイメージが強い「聖徳太子」は飛鳥時代の皇族で、用明天皇とその皇后の穴穂部間人皇女との間に生まれました。 厩戸(うまやど)皇子と呼ばれて、日本初の女性天皇となった推古天皇の皇太子になり、政治を補佐して遣隋使の派遣や十七条憲法を制定します。 日本に伝わって間もない仏教を信仰して、仏教を中心とした国づくりを目指し、法隆寺や四天王寺など建立した寺院は後世の太子信仰の拠点になります。 推古天皇30年(622年)の2月22日(旧暦)に49歳で亡くなったので、今年は1400年の遠忌にあたります。
法隆寺西院の廻廊の外側にあって、現在は御朱印スポットで大混雑している国宝『聖霊院』では、月遅れの3月22~24日に命日の法要「お会式」が執り行われていますが、1400年の今年は昨年に続き一般の参加ができません。 こんなタイミングで新型コロナとは残念なことですが、聖霊院の厨子の奥で秘仏とされている聖徳太子と4体の侍者像が、奈良と東京の展覧会にお出ましになりますよ。
聖徳太子と法隆寺 展(奈良)
国立博物館では、歴史上の人物や高僧の遠忌など記念の年に、大規模な展覧会が開かれることが多いんです。 2021年は、この「聖徳太子と法隆寺」の他に、鎌倉時代に戒律を再興した凝然や、天台宗を開いた最澄などの展覧会もあって、とても楽しみです。 聖徳太子関連では、大阪市立美術館と東京のサントリー美術館を巡回する、四天王寺と2館が企画する聖徳太子展もありますよ。
今回の展覧会は「聖徳太子と法隆寺」ということで、聖徳太子が住まった「斑鳩宮」の隣地に建てられた法隆寺西
院と、太子の皇子で一族の長だった「山背大兄王」が滅亡した後に斑鳩宮跡に建てられた法隆寺東院の宝物が多く集められています。 東京国立博物館には「法隆寺宝物館」という建物があり、明治時代に法隆寺から皇室に献納された宝物類が常設展示されていますが、ここからもかなりの数が出るようです。
法隆寺も東博の法隆寺宝物館も、行くといつでもかなりの数の国宝が観られるので、どちらも行ったことがある方は、観たことのある品が多いかもしれません。 ですが、そこは国立博物館が2館で企画する特別展で、めったに公開されない『天寿国繡帳』や、お会式では山積みのお供え物でご開帳なのにほとんど見えないと噂の『聖徳太子像』など、レアな文化財も多いんです。
今回あまり宣伝されていませんが、超レアなのが、皇室に伝わる宝物で宮内庁管理のために国宝指定から外れるという「御物(ぎょぶつ)」です。 4/27~5/16の短期間ですが、聖徳太子と聞いてすぐにイメージするあの肖像画「聖徳太子二王子像(唐本御影)」が公開されます。 後期の5/25~6/20には同じく御物から、聖徳太子が記した3つの経典の注釈書「三経義疏」の中で、これだけが聖徳太子の真筆だと伝わる「法華義疏」が公開されます。 どちらも貴重なチャンスだと思いますので、都合のつく方はぜひ観ておいてください。
この展覧会で観られる国宝
★=東京国立博物館で常設展示されている
☆=法隆寺の堂内や大宝蔵院で常設展示されている
各国宝のリンク先ページに説明や写真(一部)があります。
通期
国宝『墨台・水滴・匙』[東京国立博物館]★
国宝『灌頂幡』[東京国立博物館]★
国宝『海磯鏡』[東京国立博物館]★ ※前後期で1面ずつ
国宝『行信僧都坐像』☆[法隆寺夢殿]
国宝『夢違観音』☆[法隆寺]
国宝『聖徳太子像・侍者像』[法隆寺聖霊院]
国宝『薬師如来坐像・台座』☆[法隆寺金堂]
国宝『四天王立像』から「広目天」「多聞天」☆[法隆寺金堂]
国宝『天蓋』から「鳳凰」「飾金具」「天人」☆[法隆寺金堂]
国宝『玉虫厨子』☆[法隆寺]
国宝『塔本四面具』から「菩薩」「侍者」「羅漢」など複数☆[法隆寺五重塔]
4/27~5/23
国宝『鵲尾形柄香炉』★[東京国立博物館]
国宝『天寿国繡帳』残片[中宮寺/奈良]
国宝『竜首水瓶』★[東京国立博物館]
国宝『細字法華経』[東京国立博物館]
国宝『聖徳太子絵伝』秦致真筆[東京国立博物館]
国宝『上宮聖徳法王帝説』[知恩院/京都]
5/25~6/20
国宝『日本書紀(岩崎本)』巻第22[京都国立博物館]
国宝『法隆寺献物帳』[東京国立博物館]
展覧会 概要
日程:2021/4/27~6/20
休館:毎月曜日(祝日の場合はよく平日が休館、5/3は開館)
時間:9:30~17:00
料金:一般¥2,000、高大生¥1,400、小中生¥500(前売券は各¥200引き)
聖徳太子と法隆寺 展 公式サイト LINK