国宝の観られる美術館・博物館・建築 年末年始カレンダー
この数年は新型コロナの大流行で、数か月にわたって美術館や博物館が休館になったり、勤務先の関係で旅に出づらかったりでしたが、今年は久しぶりに通常運転に戻っています。 円安で海外旅行に行く人が減っているようですが、国内旅行や近所のアートスポットもとっても楽しいですよ。 国宝の観られる美術館博物館と寺社以外の国宝建築の開館情報をまとめましたので、予定をたてる時の参考にしてください。 このリストには入れていませんが、神社や寺院は年末年始も参拝できることが多いので、コチラの都道府県別国宝一覧でお近くの寺社へ初詣するのもオススメです。
北海道・東北エリア
函館市縄文文化交流センター[北海道函館市] 公式サイト
休館:12/29~1/3、月(祝日の場合は翌火曜日)
北海道唯一の国宝『中空土偶』が常設展示されています。 隣には道の駅「縄文ロマン 南かやべ」があります。
遠軽町埋蔵文化財センター[北海道紋別郡遠軽町] 公式サイト
休館:12/30~1/8、冬季は土日祝休み
2022年に国宝に指定されたばかりの『北海道白滝遺跡群出土品』が常時展示されています。 マンモスの牙に触れる展示もあるようです。
是川縄文館[青森県八戸市] 公式サイト
休館:12/27~1/4、月(祝日の場合は翌火曜日)
是川縄文館には国宝『合掌土偶』が常設展示されています。 近くにある是川遺跡には、縄文集落の様子が再現されています。
山形県立博物館[山形] 公式サイト
休館:12/27~1/4、月(祝日の場合は翌火曜日)
超モデル体型の縄文土偶『土偶(縄文の女神)』が公開されている博物館です。 自然史から歴史資料、民族資料まで地元のことが幅広く知れる総合額物館です。
米沢市上杉博物館[山形県米沢市] 公式サイト
休館:12/27~1/1、月(祝日の場合は翌火曜日)
米沢城跡や上杉神社のあるエリアなので、初詣も兼ねてお正月にはちょうどいい博物館です。 2千を超える上杉家の古文書類の国宝『上杉家文書』があって、いつも数点が公開されています。 国宝『洛中洛外図(狩野永徳筆)』の精巧な複製も観ることができます。
関東エリア
富岡製紙場[群馬県富岡市] 公式サイト
休館:12/29~12/31
明治時代に作られた工業遺産の『旧富岡製糸場』は、国宝に指定された「繰糸所」「東置繭所」「西置繭所」の他にも、外国からの指導者たちが暮らした建物や寮なども残っていて、見応えがあります。 元旦から公開されるようです。
国立歴史民族博物館[千葉県佐倉市] 公式サイト
休館:12/27~1/4、月(祝日の場合は翌火曜日)
国宝の現物は国宝『宋版史記』1冊ですが、色々な国宝の複製が公開されていて、しかも写真OKなので、国宝に興味がある方にはおすすめの博物館です。 佐倉城跡にあって、敷地内には屋外展示や石碑なども多いので、散策も楽しいです。
伊能忠敬記念館[千葉県香取市] 公式サイト
休館:12/29~1/1、月(祝日の場合は翌火曜日)
東北から関東への船の物流拠点として栄えた佐原は、昔の街並みを大切に保存されていて、伊能忠敬記念館では国宝『伊能忠敬関係資料』が常に何点か公開されています。 香取神宮から3kmほどで、近所には伊能忠敬の旧宅やグルメスポットもあるので一日中楽しめます。
東京国立博物館[東京都台東区] 公式サイト
休館:12/26~1/1、月(祝日の場合は翌火曜日)
「博物館に初もうで」という企画があり、長谷川等伯の『松林図屏風』『古今和歌集(元永本)』は毎年レギュラーメンバーです。 今年は、人気の高い刀剣『三日月宗近』もありますし、国宝だらけの平成館や法隆寺宝物館もお勧めです。
東洋文庫ミュージアム[東京都文京区] 公式サイト
休館:12/28~1/4、火曜日
三菱の岩崎家が蒐集した文書や図書が中心の東洋文庫は名品展を開催中で、日本から中東までの幅広い時代の名品が少しずつ展示されています。 国宝の『文選集注』が公開中で、三菱一号館で開催された三菱の至宝展は激混みでしたから、こちらでゆったり鑑賞し直してはいかがでしょう。 すぐお隣には六義園があるので、日本庭園散策もできますよ。
三井記念美術館[東京都中央区] 公式サイト
三井家伝来の品々が公開される三井記念美術館では、冬の情景でおめでたい画題でもある国宝『雪松図屏風(円山応挙筆)』が公開されることが多く、今年は雪松図と能面をテーマとした展覧会です。 今は愛知県にある国宝茶室『如庵』の複製も展示されています。 周辺はデパートやグルメスポットも多くて楽しいエリアです。
迎賓館 赤坂離宮[東京都港区] 公式サイト
休館:12/29~1/4、水曜日
国賓の接遇などが行われる『旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)』は、クリスマス前にはライトアップイベントやガーデンカフェが開催されていましたが、お正月はちょっと長めのお休みです。 お正月ですし、事前予約の和風別館なんかも良さそうです。
静嘉堂文庫美術館[東京都千代田区] 公式サイト
世田谷区の閑静なお屋敷跡(でも行くのが大変だった)から東京駅前に移転した静嘉堂文庫美術館のお正月は、干支の龍をテーマにした展覧会です。 ここ数年はかなりの期間で公開されている大人気の国宝『曜変天目(稲葉天目)』も引き続き公開されています。
刀剣博物館[東京都墨田区] 公式サイト
休館:12/25~1/5(展示替え)、月(祝日の場合は翌火曜日)
両国国技館の北に位置する刀剣博物館では、お正月に展示替えを兼ねた長めの休館があり、1/6から「正宗十哲」という展覧会が開かれます。 これを書いている時点では出展情報がないのですが、リストなどが公開され次第、追記することにします。
鎌倉国宝館[神奈川鎌倉市] 公式サイト
休館:12/4~1/3(展示替え)、月(祝日の場合は翌火曜日)
鶴岡八幡宮の境内にある鎌倉国宝館は、鎌倉市の運営で鎌倉の寺社の貴重な文物が保管・展示されていますが、雰囲気的には鶴岡八幡宮の宝物館のようです。 今年はお正月にぴったりの「国宝 鶴岡八幡宮古神宝」という展覧会で、北条政子所用の『籬菊螺鈿蒔絵硯箱』や鶴岡八幡宮に伝わる『古神宝類』が公開されます。
神奈川県立金沢文庫[神奈川県横浜市] 公式サイト
休館:12/28~1/4、月(祝日の場合は翌火曜日)
駅名にもなっている金沢文庫では、国宝『称名寺聖教/金沢文庫文書』が公開されることが多いですが、今の展覧会「中世寺院の書物」ではその大半が国宝で、その数なんと65点です。 隣は池を囲む浄土庭園が素晴らしい称名寺なので、初詣も兼ねられます。
甲信越エリア
十日町市博物館[新潟県十日町市] 公式サイト
休館:12/28~1/3、月(1/8は開館)、火
縄文時代の遺物で、土偶は5件が国宝に指定されていますが、土偶はこちらの『笹山遺跡出土深鉢形土器』だけです。 といっても数十点が1件として国宝に指定されていて、この博物館では展示替えをしながら何点かが公開されているようです。
石川県立美術館[石川県金沢市] 公式サイト
兼六園に隣接する文化エリアで、展示室が複数あるので特別展と通常展が並行して開催されます。 野々村仁清作の国宝『色絵雉香炉』は通常展の専用展示室で公開されていて、なんと重要文化財の奥方様「色絵雌雉香炉」と番で並んでいます。 1/4~2/12は「よみがえった文化財」という企画展で藤原定家筆の国宝『土佐日記』も観られます。
越前町織田文化歴史館[福井県丹生郡越前町] 公式サイト
休館:12/28~1/4
織田一族発祥の地越前町は、山あいの小さな盆地ですが歴史は古く、越前国の二宮「劔神社」は延喜式にも記載があります。 劔神社の神宮寺「劔御子寺」の寺名と、神護景雲4年(770年)の銘が入った国宝『梵鐘』が、織田文化歴史館で常設展示されています。
茅野市尖石縄文考古館[長野県茅野市] 公式サイト
休館:12/27、12/29~1/3
諏訪湖に近い茅野市には、『土偶 仮面の女神』と『土偶 縄文のビーナス』という2点の国宝土偶があり、ちょうど東京への出張から戻られたばかりです。 諏訪大社へ初詣に出かけたらぜひ立ち寄りたいですね。
松本城[長野県松本市] 公式サイト
休館:12/29~12/31
お城は元旦から登城できるところが多いですが、松本城では屋外イベントが開催されたり、本丸庭園が無料開放されるなど、お正月らしさが楽しめそうです。 国宝『天守』はとても見晴らしが良いですよ。
東海エリア
徳川美術館[名古屋市東区] 公式サイト
休館:12/16~1/3
尾張徳川家伝来の文物が観られる徳川美術館では、通常展の「名品ギャラリー」で国宝『婚礼調度』が交互に公開されます。 年末時点ではまだ年明けのリストが発表されていませんが、他にも国宝刀剣が公開されることもあります。
犬山城[愛知県犬山市] 公式サイト
休館:12/29~31
尾張徳川家の付家老だった成瀬家のお城で、国宝5城に数えられる犬山城は、鎮守の神社もあって、楽しい門前町が広がっていますので、初詣&ぶらり旅にちょうどいいのではないでしょうか。
如庵[愛知県犬山市] 公式サイト
休館:12/29~31、水
犬山城から徒歩10分ほどのところに、名鉄の運営するエリアがあって、インディゴブランドのおしゃれホテルの庭園に、織田信長の弟の織田有楽斎が作った茶室『如庵』があります。 日本庭園をめぐる途中に現れるひなびた茶室はひなびた中にも洗練が感じられる素敵な空間です。
近畿エリア
彦根城[滋賀県彦根市] 公式サイト
年中無休
ひこにゃんが人気者の彦根城は、ライトアップなどのイベントも多く、年末年始で公開されています。 周辺には日本庭園や城下町もあるので、国宝『天守』だけでなく色んな楽しみ方ができそうです。
京都国立博物館[京都市東山区] 公式サイト
休館:12/25~1/1
この時期は特別展はありませんが、実はこちらの真骨頂は通常展だと思います。 「平安時代人の祈り―経塚と経筒」では『崇福寺塔心礎納置品』『金銀鍍宝相華文経箱(横川出土)』『大和国金峯山経塚出土品』が、「織物の美と技法」では『阿須賀神社伝来 古神宝類』や『熊野速玉大社 古神宝類』から最古級の織物が出展されます。
お正月には公式キャラクターのトラりんが羽織袴の正装で登場するかも!?です。
二条城 二の丸御殿[京都市中京区] 公式サイト
休館:12/26~1/3(庭園の休みは12/29~12/31のみ)
二条城は12/29~12/31が休みで、元旦から営業しているのですが、国宝の『二の丸御殿』の内部見学は、12/26~1/3まで休みになってしまいます。 1/4からは普段は入室できない「三の間」の特別入室など、特別企画もいくつかあるようです。
奈良国立博物館[奈良県奈良市] 公式サイト
休館:12/28~1/1、月(1/8は開館)
今年の奈良博は特別展はありませんが、公開の少ない福島県の龍興寺の国宝『一字蓮台法華経』や、談山神社の『大和国粟原寺三重塔伏鉢』が公開されます。 この時期は寒さがこたえますが、日本を代表する初詣エリアですので、行って後悔はないと思います。
大和文華館[奈良県奈良市] 公式サイト
こちらは近鉄グループの美術館で、自館所蔵の展覧会が多いのですが、4件の国宝を所蔵しているので、空いているわりに充実した展示を観せていただけます。 1/5~2/18は「やまと絵のこころ」という展覧会で国宝『寝覚物語絵巻』が公開されます。
山陽・山陰エリア
旧閑谷学校[岡山県備前市] 公式サイト
休館:12/29~12/31
江戸時代の初期に、岡山藩主の池田光政が創建した学校で、武家の指定だけでなく、庶民でも学べる学校としては最古なんだそうです。 国宝の『講堂』の他に、孔子をまつる「廟」や、教師や学生が休憩した「飲室」など古い建物も多く残っています。 1/4には読初の儀が行われます。
松江城[島根県松江市] 公式サイト
年中無休
松江城も年中無休で登城できます。 こちらでは先着20名限定ですが、国宝の『天守』から初日の出を望むという企画をされているので、お近くで早起きが得意な方はチャレンジしてはいかがでしょうか。
古代出雲歴史博物館[島根県出雲市] 公式サイト
休館:年末年始は営業(1/19が休館)
出雲大社のそばにある博物館で、年末年始もずっと開館している貴重な博物館です。 国宝『荒神谷遺跡出土品』と『加茂岩倉遺跡出土銅鐸』が常時公開されていますが、これは両方ともかなりの点数があるので、迫力満点です。
高知城歴史博物館 公式サイト
休館:12/26~12/31
高知城に隣接するこちらは、元旦から開館しています。 土佐藩主山内家伝来の文物を多く所蔵していて、毎年お正月には国宝『古今和歌集巻第廿(高野切本)』が特別公開されます。 あまり他館に貸し出されないので、毎年恒例の貴重な公開です。
九州・沖縄エリア
九州国立博物館[福岡県太宰府市] 公式サイト
休館:12/24~12/31
国立博物館の中で唯一1/1から開館する九州国立博物館は、太宰府天満宮のお隣という立地が大きいでしょうか。 こちらではお正月の恒例、徳川美術館の国宝『婚礼調度』の展示や、いつも何点かが公開されている『宮地嶽古墳出土品』や『宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品』などが観られます。 今年は国宝『刀 無銘則房』や数年前からこちらで公開されている観世音寺の『梵鐘』も観られますよ。
福岡市博物館[福岡県福岡市] 公式サイト
休館:12/28~1/4
通常展でいつも公開されている国宝『金印 漢委奴國王』の他に、毎年1月は大人気の国宝刀剣『刀 金象嵌銘長谷部国重本阿花押(名物 へし切)』も公開されます。 黒田家や福岡に関する常設展示も充実しています。
伊都国歴史博物館[福岡県糸島市] 公式サイト
休館:12/29~1/3
糸島市の博物館で、新館3階の常設展示「王墓の部屋」では、平原遺跡から発見された国宝『平原方形周溝墓出土品』が、原寸模型や出土状況の再現と合わせて観られます。
長崎歴史文化博物館[長崎県長崎市] 公式サイト
休館:12/28~12/31
三菱財閥の岩崎家が蒐集した東洋の古典籍を所蔵する東洋文庫は、名品を集めた展覧会で全国を巡回しています。 平安貴族の必須科目だった『文選集注』が公開されます。
通潤橋[熊本県上益城郡] 公式サイト
最も新しい国宝建造物がこちらの通潤橋で、名前の通り農業用の水を通す橋で、橋の中央から放水される日もあります。 年末年始は放水と橋上での見学はありませんが、屋外にある現役の水路橋ですので、見学はいつでも可能です。
鹿児島県歴史資料センター黎明館[鹿児島県鹿児島市] 公式サイト
休館:12/27、12/31~1/2
年末に、霧島神宮が鹿児島県で2件目の国宝に指定されることが発表されました。 1件目の国宝はというと、島津家ゆかりの『太刀 銘 国宗』で、照国神社へ奉納されましたが第二次大戦で行方不明になり、アメリカ人の刀剣愛好家によって戻されたという太刀です。 公開期間があまり長くなく、1/10までなのでご注意ください。
那覇市歴史博物館[沖縄県那覇市] 公式サイト
休館:12/27~1/6
観光地にある博物館にしては長めの年末年始休暇ですが、なんくるないさ~です。 こちらでは、琉球王国時代の衣装や祭祀具、刀剣や文書類などが一括で国宝に指定されている『琉球国王尚家関係資料』を所蔵していて、いつも数点が公開されています。
今月・来月のカレンダー
寺社でのご開帳や法要などの行事、美術館・博物館での国宝公開スケジュールなどを、月ごとにまとめています。
寺社や宝物館
博物館所蔵の仏像は公開期間が限られたり、寺院でも秘仏で数年に一度しか非公開の建物や、