超・国宝-祈りのかがやき-展
大阪万博の開幕にあわせるように、関西では大規模な展覧会があちこちで開かれています。 奈良国立博物館でも110件の国宝と20件の重要文化財を集めた「超・国宝」展が開かれますが、実はこちらは万博記念ではなく、奈良国立博物館の開館130周年を記念したものなんです。 仏像や古写経など仏教美術が得意な博物館で、サブタイトルが「祈りのかがやき」ですから、仏像や仏画好きはかなり前からザワザワしていて、結果はもちろん期待を裏切らないラインナップです。
こちらのページでは、ジャンル別に展示期間の表を作っています。 あわせて、あくまでもここ10年ほどの管理人の感覚によるものですが、国宝公開のレア度「公開少なめ」「公開やや少なめ」のラベルと、定期的な公開情報等があるものにもラベルを付けています。 ここ数年は公開少なめでも、所縁の人物の遠忌があったり修理が終わったりで公開が頻繁になることもありますし、常時拝観可能でも公共交通では行きづらい場所だったり、関西での公開は極まれといったケースもありますので、あくまでも参考程度にお考え下さい。
公開少なめ 5~10年レベルでしか公開されないもの
公開やや少なめ それよりもやや多いが公開が珍しいもの
年に〇度公開 定期的なご開帳があるものや、原則として年に1度は公開されるもの
所蔵館で常時公開 寺院や所蔵館で原則として常時公開されているもの
1~3年単位で公開される・されそうなもの
国宝-絵画
今回の展覧会で人気が集中しそうなのが絵画と仏像だと思いますが、絵画は通期で公開されるものはなく、前期・後期で大幅な入れ替えがありますので、お目当てのある方はしっかり日程チェックをしてください。 今回は、国立博物館の所有や寄託の作品が中心で、数年に1度は公開されそうなものが多いですが、絵画は公開期間が短いので、狙って行くのはなかなか厳しいです。 これだけの数が集まるのですから、関西在住など行ける方は前期・後期両方ご覧になるといいと思います。

4/19~5/6
国宝『吉祥天像』[薬師寺/奈良]正月3が日に公開
前期(4/19~5/18)
国宝『倶舎曼荼羅図』[東大寺/奈良]
国宝『信貴山縁起絵巻』「尼公巻」[朝護孫子寺/奈良]毎年秋に里帰り公開
国宝『慈恩大師像』[薬師寺/奈良]公開少なめ
国宝『釈迦如来立像像内納入品』から「霊山変相図」[清凉寺/京都]
国宝『十六羅漢図』[東京国立博物館]
国宝『十一面観音像』[奈良国立博物館]
国宝『千手観音像』[東京国立博物館]
国宝『訶梨帝母像』[醍醐寺/京都]公開やや少なめ
国宝『辟邪絵』[奈良国立博物館]
国宝『病草紙』から「ふたなり」「眼病の治療」「痔瘻の男」「口臭の女」[京都国立博物館]
国宝『両界曼荼羅図(子嶋曼荼羅)』[子嶋寺/奈良]公開少なめ
国宝『五大尊像』[来振寺/岐阜]公開やや少なめ
国宝『春日権現験記絵』高階隆兼筆[三の丸尚蔵館/東京]年に1度以上公開あり
国宝『玄奘三蔵絵(法相宗秘事絵詞)』[藤田美術館/大阪]年に1度以上公開あり
国宝『金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図』[中尊寺大長寿院/岩手]
国宝『水色巒光図』伝周文筆[奈良国立博物館]
5/20~6/8
国宝『山越阿弥陀図』[京都国立博物館]
後期(5/20~6/15)
国宝『華厳五十五所絵巻』[東大寺/奈良]
国宝『勤操僧正像』[高野山普門院/和歌山]
国宝『動植綵絵』伊藤若冲筆「雪中鴛鴦図」「大鶏雌雄図」[三の丸尚蔵館/東京]年に1度以上公開あり
国宝『虚空蔵菩薩像』[東京国立博物館]
国宝『六道絵』から「阿鼻地獄」「人道不浄相」[聖衆来迎寺/滋賀]8/16に一部が里帰り展示
国宝『地獄草紙』[奈良国立博物館]
国宝『餓鬼草紙(絵十図・河本本)』[東京国立博物館]
国宝『釈迦金棺出現図』[京都国立博物館]
国宝『阿弥陀三尊・童子像』[法華寺/奈良]毎年秋に公開
国宝『一遍上人絵伝(一遍聖絵)』[遊行寺/神奈川]
6/10~6/15
国宝『普賢延命像』[持光寺/広島]公開少なめ
国宝-仏像・彫刻
彫刻は寺院や宝物館で常時公開されているものが多いですが、現地の暗いお堂の中でお厨子に入ったお姿を見上げるのと違い、博物館ではライティングされて背中や真横から拝見できますので、やはり貴重な機会なんです。 また東大寺の重源上人坐像は年に2日間のみのご開帳だったり、宝菩提院のように公共交通機関では行くのが難しい場所もあります。

通期
国宝『百済観音』[法隆寺/奈良]法隆寺大宝蔵院で常時公開
国宝『四天王立像』から「広目天」「多聞天」[法隆寺金堂/奈良]法隆寺金堂で常時公開
国宝『地蔵菩薩立像』[法隆寺/奈良]法隆寺大宝蔵院で常時公開
国宝『天蓋』の「天人」[法隆寺金堂/奈良]法隆寺金堂で常時公開
国宝『俊乗上人(重源上人)坐像』[東大寺/奈良]7/5と12/16にご開帳
国宝『伎楽面』[東京国立博物館]毎週金・土に東博で公開
国宝『薬師如来・獅子吼菩薩』[唐招提寺/奈良]春・秋に唐招提寺新宝蔵で公開
国宝『薬師如来立像』[元興寺/奈良]
国宝『維摩居士坐像』[法華寺/奈良]法華寺で常時公開
国宝『義淵僧正坐像』[岡寺/奈良]
国宝『薬師如来坐像』[奈良国立博物館]
国宝『十一面観音立像』の「光背」[聖林寺/奈良]聖林寺で常時公開
国宝『銅板法華説相図(千佛多寶佛塔)』[長谷寺/奈良]
国宝『釈迦如来倚像』[深大寺/東京]深大寺で常時公開
国宝『釈迦如来坐像』[室生寺/奈良]室生寺寳物殿で常時公開
国宝『菩薩半跏像(伝如意輪観音)』[宝菩提院/京都]宝菩提院で常時公開
国宝『虚空蔵菩薩立像』[醍醐寺/京都]公開やや少なめ
国宝『大日如来坐像』運慶作[円成寺/奈良]円成寺で常時公開
国宝『僧形八幡神・神功皇后・仲津姫命 坐像』[薬師寺/奈良]
前期(4/19~5/18)
国宝『天燈鬼・竜燈鬼立像』康弁作[興福寺/奈良]興福寺国宝館で常時公開
国宝『釈迦如来立像像内納入品』から「霊山変相図」[清凉寺/京都]
後期(5/20~6/15)
国宝『弥勒仏坐像(試みの大仏)』[東大寺/奈良]
国宝『釈迦如来立像』[清凉寺/京都]春秋と8日に公開
国宝『叡尊坐像・像内納入品』[西大寺/奈良]坐像は西大寺で常時公開
国宝『菩薩半跏像(伝如意輪観音)』[中宮寺/奈良]中宮寺で常時公開
国宝『金剛力士立像』の附「像内納入品 宝篋印陀羅尼経」[東大寺南大門/奈良]
国宝-工芸品
展覧会で人気の工芸品というと刀剣類が思い浮かびますが、今回は仏教美術がテーマなので刀剣類は少なめで、春日大社に奉納された拵が豪華な太刀と考古資料(次項目)の七支刀だけです。 中心になるのは寺院を荘厳したり法要に使う金工品、蒔絵の経箱などで、模様も蓮の花など仏教に関するものが多く用いられます。 手向山八幡宮の唐鞍や東大寺の葡萄唐草文染韋などは公開が珍しいのではないでしょうか。

国宝展
通期
国宝『金銀鍍龍首水瓶』[東京国立博物館]東博で常時公開
国宝『鵲尾形柄香炉』[東京国立博物館]東博で常時公開
国宝『金銅燈籠』[興福寺/奈良]興福寺国宝館で常時公開
国宝『金亀舎利塔』[唐招提寺/奈良]10/21~23に公開
国宝『金銅透彫舎利容器』[西大寺/奈良]
国宝『鉄宝塔・五瓶舎利容器』[西大寺/奈良]
国宝『金銅能作生塔』[長福寺/奈良]
国宝『牛皮華鬘』[奈良国立博物館]
国宝『中尊寺金色堂堂内具』から「金銅華鬘」「金銅幡頭」[中尊寺金色院/岩手]中尊寺讃衡蔵で常時公開
国宝『金銅密教法具』[厳島神社/広島]
国宝『金銀鍍透彫華籠』[神照寺/滋賀]
国宝『海獣葡萄鏡』[香取神宮/千葉]
国宝『唐鞍』[手向山八幡宮/奈良]公開少なめ
国宝『本宮御料古神宝類』[春日大社/奈良]※展示替えあり
4/19~5/11
国宝『禽獣葡萄鏡』[大山祇神社/愛媛]大山祇神社で常時公開
4/19~5/15
国宝『天寿国繡帳』[中宮寺/奈良]公開やや少なめ
前期(4/19~5/18)
国宝『黒漆螺鈿卓』[法隆寺/奈良]公開やや少なめ
国宝『葡萄唐草文染韋』[東大寺/奈良]公開少なめ
国宝『刺繍釈迦如来説法図(勧修寺繡帳)』[奈良国立博物館]
国宝『金地螺鈿毛抜形太刀』[春日大社/奈良]
国宝『倶利伽羅竜蒔絵経箱』[當麻寺奥院/奈良]
5/16~6/15
国宝『八角燈籠』の「羽目板」[東大寺/奈良]東大寺ミュージアムで常時公開
後期(5/20~6/15)
国宝『花鳥彩絵油色箱』[東大寺/奈良]公開やや少なめ
国宝『澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃』[金剛峯寺/和歌山]
国宝『金銅宝塔』[西大寺/奈良]西大寺聚宝館で年に数か月公開
国宝『熊野速玉大社 古神宝類』から「桐蒔絵手箱」[熊野速玉大社/和歌山]熊野神宝館で一部を常時公開
国宝『蓮唐草蒔絵経箱』[奈良国立博物館]
国宝-考古資料
考古資料も展示期間の制限が厳しくないので、半数以上が期間を通して公開されます。 博物館で常時公開されるものもありますが、石上神宮の七支刀のように展覧会情報が発信された頃から話題になっていた激レア国宝もあります。

通期
国宝『東大寺金堂鎮壇具』[東大寺/奈良]東大寺ミュージアムで常時公開
国宝『興福寺金堂鎮壇具』[東京国立博物館]東博で常時公開
国宝『崇福寺塔心礎納置品』[近江神宮/滋賀]
国宝『大和国粟原寺三重塔伏鉢』[談山神社/奈良]
国宝『七支刀』[石上神宮/奈良]公開少なめ
前期(4/19~5/18)
国宝『鞍馬寺経塚遺物』[鞍馬寺/京都]冬季以外は鞍馬寺霊宝殿で公開
後期(5/20~6/15)
国宝『金銅藤原道長経筒』[金峯神社/奈良]
国宝『金峯山経塚出土品』[金峯山寺/奈良]
国宝-書跡・典籍・古文書
国宝を全部観てみたい!となった時に、なかなか捗らないのが書跡・典籍や古文書といった紙類です。 今回は、複数が1件として国宝指定されていたり、国立博物館の所有や寄託など、比較的公開が多めのものが中心のようです。 一番の注目は、これが数行あるだけで手鑑(名筆家の書を貼ったスクラップブック)の格があがるという「大聖武」でしょうか。 大聖武は他の所有者の3件も別に国宝に指定されていて、どれもあまり公開が多くありません。

通期
国宝『紫紙金字金光明最勝王経(国分寺経)』[奈良国立博物館]※展示替えあり年に1度以上公開あり
国宝『法華経(浅草寺経)』[浅草寺/東京]※展示替えあり
国宝『法華経(久能寺経)』[個人蔵]※展示替えあり
国宝『一字蓮台法華経』[龍興寺/福島]※展示替えあり公開やや少なめ
国宝『法華経一品経(慈光寺経)』[慈光寺/埼玉]※展示替えあり
国宝『法華経一品経(長谷寺経)』[長谷寺/奈良]※展示替えあり
国宝『智証大師関係文書典籍』[園城寺(三井寺)/滋賀]※展示替えあり
前期(4/19~5/18)
国宝『東大寺文書』[東大寺/奈良]
国宝『醍醐寺文書聖教』[醍醐寺/京都]
国宝『金剛場陀羅尼経』[文化庁]
国宝『金光明最勝王経(百済豊虫願経)』[西大寺/奈良]
国宝『法華経序品(竹生島経)』[宝厳寺/滋賀]公開やや少なめ
国宝『金銀字一切経(中尊寺経)』[高野山金剛峯寺/和歌山]年に1度以上公開あり
国宝『中尊寺経』の附「一切経箱」[中尊寺大長寿院/岩手]
国宝『禅院額字』から「前後」[東福寺/京都]
5/13~6/15
国宝『賢愚経(大聖武)』[東大寺/奈良]公開少なめ
後期(5/20~6/15)
国宝『大毘遮那成佛神変加持経(吉備由利願経)』[西大寺/奈良]公開やや少なめ
国宝『法華経方便品(竹生島経)』[東京国立博物館]
国宝『尺牘 久隔帖』伝最澄筆[奈良国立博物館]
国宝『金剛般若経開題残巻』空海筆[奈良国立博物館]
国宝『無準師範墨蹟(板渡しの墨蹟)』[東京国立博物館]
展覧会 概要
日程:2025/4/19~6/15
休館:月曜日(4/28と5/5は開館)、5/7
時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥2,200、高大生¥1,500、